赤ちゃんの「指さし」と言葉の関係|研究でわかったことと、家庭でできること

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この記事で分かること

「うちの子、そろそろ指さしする?」「指さしが言葉につながるって本当?」——赤ちゃんの指さし(指差し)は、言葉が出る前の大切なコミュニケーションのサインとしてよく話題になります。

この記事では、25の研究をまとめて分析した信頼性の高い研究(メタ分析)をもとに、「指さしと言葉の発達には、実際どのくらい関係があるのか」をわかりやすく紹介します。そのうえで、家庭でできる関わり方と、気になるときの相談の目安までまとめました。最初に大事なことをお伝えすると、指さしは「言葉が伸びる目安(サイン)」ではありますが、「指さしさせれば言葉が増える」と単純に言えるものではありません。そこも正直に解説します。

そもそも「指さし」とは?2つのタイプ

赤ちゃんの指さしは、だいたい生後10か月〜1歳半ごろに出てくることが多いといわれます。実は指さしには、目的の違う2つのタイプがあります。

  • 叙述(じょじゅつ)の指さし:「見て!」と、興味のあるものを大人と一緒に共有したい気持ちで指さすもの(例:犬を見つけて「あっ!」と指さして親の顔を見る)。
  • 要求の指さし:「あれ取って」と、ほしいものを手に入れるために指さすもの。

このうち、あとで紹介する研究で言葉との関連が強かったのは、「見て!」の叙述の指さしのほうでした。誰かと気持ちを共有しようとする力が、言葉の育ちと近いところにあると考えられています。

研究でわかっていること(メタ分析の紹介)

ここで、信頼性の高い研究を一つ紹介します。メタ分析とは、同じテーマの研究をたくさん集めて統合し、全体としてどんな傾向があるかを調べる方法のこと。1つの研究だけより、結果がぶれにくく信頼できます。

オランダの研究チームによる2010年のメタ分析(Colonnesiほか)は、25件の研究・のべ734人の子どものデータをまとめました。その結果、指さしと言語発達には次のような関連が報告されています。

  • 同じ時期で見たときの関連:強い(統計的な関連の大きさ r = .52)
  • その後の言葉の育ちを追ったときの関連:中くらい(r = .35)
  • 関連は年齢とともに強くなり、特に「見て!」の叙述の指さしで見られた

(出典:Colonnesi, Stams, Koster, & Noom (2010) “The relation between pointing and language development: A meta-analysis,” Developmental Review, 30, 352–366. 概要は ERIC で確認できます)

ここで出てくる「r」は、2つのことがどれくらい一緒に動くかを表す数字で、0に近いほど無関係、1に近いほど強い関連という目安です。つまり「指さしがよく出る子は、言葉の発達もよい傾向がある」という関連が、多くの研究をまとめても確かに見られた、ということです。

この結果をどう考える?

ここが一番大切なところです。この研究が示しているのは「関連(相関)」であって、「指さしが言葉を増やす原因だ」という証明ではありません

考えられるのは、指さしと言葉が、どちらも「人と気持ちを通わせたい」という同じ土台から育っている、という見方です。だから指さしは、言葉が出る前の発達の“窓”=目安として役立ちます。一方で、「言葉のために指さしを無理やり練習させる」必要はありません。大切なのは指さしそのものより、その奥にある「一緒に見たい・伝えたい」という気持ちのやりとりを大事にすることです。

家庭でできること

特別な訓練は要りません。日々の関わりの中で、赤ちゃんの「伝えたい」に応えるのがポイントです。

  • 指さしに言葉で応える:赤ちゃんが指さしたら、「わんわんだね」「大きいね」と、見ているものに言葉を添えてあげる。
  • 目線と気持ちを合わせる:指さした先を一緒に見て、「ほんとだ!」と共感を返す。この「一緒に見る」体験が土台になります。
  • 絵本を一緒に指さす:「うさぎさんどれ?」と一緒に指さし遊びをすると、自然にやりとりが増えます。語りかけのコツはベビーサイン・語りかけのコツの記事もどうぞ。
  • 焦らない:発達には大きな個人差があります。できた・できないで一喜一憂せず、やりとりそのものを楽しんで。

指さしが出ない・気になるときは

指さしの出る時期には幅がありますが、1歳半健診(1歳6か月児健診)では、指さしなどのコミュニケーションの様子が確認されることがあります。「まだ指さしをしない」「目が合いにくい」「名前を呼んでも反応が薄い」などが気になる場合は、気になる点を自己判断で抱え込まず、健診やかかりつけ医・小児科、地域の子育て相談で相談してください。早めに相談すること自体が、その子に合った関わりを見つける近道になります。

よくある質問(FAQ)

Q. 指さしをしないと、言葉が遅れるということですか?
A. いいえ。研究が示すのは「関連がある傾向」で、指さしが遅め・少なめでも言葉が順調に育つ子もたくさんいます。あくまで目安の一つとして捉えてください。

Q. 指さしを練習させたほうがいい?
A. 無理な練習は必要ありません。赤ちゃんが指さしたものに言葉を添えたり、一緒に見て共感したりする、自然なやりとりのほうが大切です。

Q. 何歳ごろまでに出れば安心?
A. 個人差が大きいので一概には言えません。目安として1歳半健診で確認されることが多いです。気になるときはその時期を待たずに相談してOKです。

まとめ

25の研究をまとめたメタ分析では、赤ちゃんの指さし(特に「見て!」の叙述の指さし)と言葉の発達には、確かな関連があることが報告されています。ただしこれは関連であって因果ではなく、「指さしさせれば言葉が伸びる」というものではありません。大切なのは、指さしの奥にある「伝えたい・共有したい」気持ちに、言葉と共感で応えていくこと。焦らず、日々のやりとりを楽しんでいきましょう。気になることがあれば、健診や小児科で早めに相談を。


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