赤ちゃんの「ぐずり期」は本当にある?研究でわかった数え方と、しんどい時期の乗り切り方

akachan-guzuri-ki 育児のヒント

※本ページはアフィリエイト広告(PR)を含みます。

この記事の結論

赤ちゃんのぐずり期——「特定の週になると急にぐずりやすくなる時期がある」という考え方は、日本の赤ちゃんでも一定の裏づけが得られています。ただし、正しく使うには数え方に2つのコツがあります。

東京学芸大学などの研究チームが、生後1年以内の赤ちゃんをもつ母親156人に尋ねたところ、ぐずり期にあたる週の赤ちゃんは、71%が「先週よりぐずりが増えた」とされました。それ以外の週では52%です(石川ほか, 2024)。ただしこの差は、①誕生日ではなく出産予定日から数え、②「いつもより」ではなく「先週より」で比べたときにだけ現れました。誕生日から数えると差は消え、「いつもと比べて」と聞くと差は消えました。

この記事では、ぐずり期の週齢の一覧、数え方のコツ、しんどい時期を乗り切る具体策、そしてこの考え方を信じすぎないほうがいい理由まで、正直にまとめます。

いまの困りごと別、まず試すこと

いまの状況 まず試すこと
急にぐずりが増えて理由が思い当たらない 出産予定日から数えた週数を確認する(下の一覧表)
ぐずり期が終わる時期を知りたい 一覧表の週齢帯の終わりが目安。ただし1週間前後ずれます
とにかく今、泣き止まない 抱っこして5分歩く(泣き止ませの手順
抱っこの時間が長すぎて体がつらい 抱っこ紐やヒップシートに切り替える/家族と交代する
気持ちが限界に近い 安全な場所に仰向けで寝かせて数分離れる。絶対にゆさぶらない

そもそも「ぐずり期」「メンタルリープ」とは

オランダの研究者ファン・デ・レイトとプローイュは、15人の赤ちゃんを生後20か月間ずっと追いかけ、「特にぐずりやすくなる週齢帯が10回ある」と報告しました(Rijt-Plooij & Plooij, 1992)。この時期は赤ちゃんがとにかくぐずり、なかなか泣き止まず、お母さんとの密着を強く求めるのが特徴です。

この考え方が一般向けの本『The Wonder Weeks』になり、日本ではメンタルリープという呼び名でアプリなどとともに広まりました。

その源流はさらに古く、小児科医ブラゼルトンが1962年に「生後3か月までの泣きぐずりは生後6週ごろにピークがある」と報告したところにあります(Brazelton, 1962)。この生後6週のピークだけは、その後の研究でも繰り返し確認されており、乳児コリック(黄昏泣き)として医学的にも認められています

ぐずり期とされる週齢の一覧(出産予定日から数えた週数)

週齢帯 ぐずる子がいちばん多いとされる週 月齢の目安
1 4.5〜5.5週 5週 生後1か月ごろ
2 7.5〜9.5週 8週 生後2か月ごろ
3 11.5〜12.5週 12週 生後3か月ごろ
4 14.5〜19.5週 17週 生後4か月ごろ
5 22.5〜26.5週 26週 生後6か月ごろ
6 33.5〜37.5週 36週 生後8か月ごろ
7 41.5〜46.5週 44週 生後10か月ごろ
8 50.5〜54.5週 51〜53週 1歳ごろ
9 59.5〜64.5週 61〜62週 1歳2か月ごろ
10 70.5〜75.5週 72〜73週 1歳5か月ごろ

(Rijt-Plooij & Plooij, 1992 による。月齢は換算のおおよその目安です)

研究でわかったこと——日本の赤ちゃん156人で初めて確かめられた

ここまでの研究は、すべてヨーロッパで行われたものでした。日本の赤ちゃんで確かめた研究は、2024年まで存在しませんでした

そこで東京学芸大学の石川卓磨さんらの研究チームが、生後52週(約1歳)までの赤ちゃんをもつ母親156人にアンケートを行いました(石川・池田・麦谷, 2024, 東京学芸大学紀要)。SNSで協力を募り、「今週は先週より、抱っこなどで肌が触れていないとぐずりやすいか」を4段階で答えてもらう方法です。父親や家族の育児協力の時間が先週と大きく変わった人は、結果がゆがむため除いています。

わかったことは3つです。

1. ぐずり期にあたる週の赤ちゃんは、ぐずりが増えていた
ぐずり期にいた92人のうち71%が「先週よりぐずりが増えた」。それ以外の週にいた64人では52%でした。統計的にも意味のある差です(オッズ比2.26。オッズ比とは起こりやすさの差を表す目安で、1なら差なし、2.26は「増えた」と答える傾向がおよそ2.3倍強いことを示します)。

2. 「いちばんぐずる週」とされる週で、最も高かった
各ぐずり期のなかでも、ピークとされる週にいた赤ちゃんでは83%が「先週より増えた」。ぐずり期のなかにも山があることが示されました。

3. 数え方を変えると、この現象は見えなくなった
ここがこの研究のいちばん実用的なところです。

  • 誕生日から数えた週齢でぐずり期を計算し直すと、差はなくなりました(67%対58%で、統計的に意味のある差ではありませんでした)。
  • 別の母親136人に「今週は“いつも”と比べてぐずりやすいか」と聞いた調査Bでは、ぐずり期でもそれ以外でも差はありませんでした(64%対61%)。

つまり、出産予定日から数えて、先週と比べる。この2つがそろわないと、ぐずり期は見えないということです。

なぜ「誕生日」ではなく「出産予定日」から数えるのか

ぐずり期は、生まれてからの日数ではなく、受精からの発達の時計に沿って起きていると考えられています。だから、予定日より早く生まれた子も遅く生まれた子も、出産予定日を「0週」として数え直す必要があります。この数え方を修正週齢と呼びます。

たとえば予定日より2週間早く生まれた子の場合、生後10週の時点での修正週齢は8週。ちょうど2回目のぐずり期にあたります。誕生日から数えていたら、この山を見落としていたことになります。

「いつもより」ではなく「先週より」で比べる理由も、研究チームは説明しています。赤ちゃんは1年で身長が24〜25cm伸び、寝返りもハイハイもできるようになるほど変化が激しく、しかも一緒に過ごした期間がまだ1年もありません。そのため母親のなかで「いつもの状態」という基準そのものが定まらないのだろう、というのが論文の考察です。

家庭でできること

道具もお金もいらない、今日からできることを挙げます。

1. 出産予定日を起点にした週数をメモしておく
母子健康手帳に書かれた出産予定日から数えて、いま何週目かを把握しておきます。ぐずりが増えたときに「4回目のぐずり期に入ったところだ」とわかるだけで、原因探しの消耗が減ります。

2. 記録は「先週と比べてどうか」で残す
毎日の記録が難しければ、週に1回「先週よりぐずった/同じ/減った」の3択でメモするだけで十分です。研究で差が出たのも、この比べ方でした。

3. 「終わりがある」ことを家族と共有する
ぐずり期はいちばん長いもので5週間ほど、短いものは1週間です。終わりがあると知っていること自体に意味があります。原因不明のぐずりが続くと、特に初めての育児では先が見えない不安や自信の喪失につながり、産後うつや虐待の引き金にもなりうることが報告されています(岡本・松岡, 2003ほか)。

4. 家族に「今週は交代してほしい」と伝える
同じ研究のなかで、その週の家族の育児協力の時間が多かった家庭では、母親から見たぐずりの激しさの評価が下がる傾向がありました(ただし対象は11人のみで、参考程度の結果です)。ぐずり期を事前に知っておけば、その週にパートナーの在宅時間を寄せるといった段取りが組めます。

5. 泣き止まないときの手は別に用意しておく
ぐずり期かどうかにかかわらず、泣き止ませには「抱っこして5分歩く」という研究で確かめられた手順があります。詳しくは赤ちゃんはなぜ泣く?泣き止ませと寝かしつけの手順に、歌の使い方は泣きぐずりに“歌”が効くにまとめています。

ちなみに、泣いていないときも含めて抱いて運ぶ時間そのものを増やすと、生後6・8・12週の泣きぐずりの時間がはっきり減ったという古典的な比較試験もあります(Hunziker & Barr, 1986)。ぐずり期は密着を求める時期なので、抱っこの総時間はどうしても伸びます。腕や腰の負担を減らす道具に切り替えるのは、続けるための現実的な手です。

道具を選ぶときは、月齢に合わせるのが失敗しないコツです。
首がすわる前(生後4か月ごろまで):横抱きに対応した抱っこ紐を使う。首をしっかり支えられる作りかどうかをまず確認します。
首がすわったあと:体重の負荷を肩ではなく腰で支えるヒップシート付きの抱っこ紐が候補になります。抱っこの総時間が伸びるぐずり期は、腰への負担の差がいちばん響く時期でもあります。
すでに抱っこ紐を持っている場合:買い替えを急ぐ必要はありません。まずは家族との交代でしのぎ、腕や腰の痛みが続くようなら検討する、という順番で十分です。

知っておきたい注意点と、この研究の限界

ここは正直に書きます。ぐずり期という考え方は、科学的に決着がついたものではありません。

  • 元の研究の追試は、失敗しています。 オランダの別の研究チームが、赤ちゃんの行動を実際に観察して10期のぐずり期を確かめようとしたところ、共通するパターンは見つからず、個人差のほうが大きいという結果でした(de Weerth & van Geert, 1998, British Journal of Developmental Psychology)。この分野で専門家の見解が分かれている、大きな理由です。
  • 今回の日本の研究も、確定ではありません。 対象は156人ですが、8つのぐずり期を個別に見ると、1つの期に集まったデータが1〜8人しかありません。論文自身が「8期すべての存在が示されたわけではない」と述べています。前後の期間と比べてはっきり差が出たのは、44週ごろ(生後10か月ごろ)のぐずり期だけでした。
  • 一度きりのアンケートで、母親の主観による評価です。 同じ子を毎週追いかけた記録ではなく、赤ちゃんの様子を測定した観察でもありません。
  • 参加者はSNSでぐずり期に関心をもつ人を募っています。 「今はぐずり期のはず」という思い込みが答えに影響した可能性は残ります(研究チームは、調査Bで差が出なかったことからその影響は限定的だろうと述べていますが、統制した追試は今後の課題としています)。
  • 予言ではありません。 ぐずり期にあたる週でも、約3割の赤ちゃんはぐずりが増えていません。逆に、ぐずり期でない週でも半数は増えています。「今週はリープだから泣くはず」と決めつけると、別の原因を見落とします。

だからこの考え方は、当てにいくものではなく、しんどい時期に「これはいつか終わる」と思い出すための道具として使うのが、いちばん実態に合っています。

受診・相談の目安

週齢の計算に当てはめる前に、次のようなときは自己判断で様子を見ず、かかりつけの小児科や地域の保健センターに相談してください。

  • 泣き方がいつもと明らかに違う、甲高い、あるいはぐったりして反応が乏しい
  • 発熱、嘔吐を繰り返す、便に血が混じる、おなかが張って硬い
  • ミルクや母乳を飲まない、おしっこの回数が減っている
  • 何時間も泣き止まない状態が続き、こちらの気持ちが限界に近い

ぐずりの多くは正常な発達の一部ですが、まれに病気が隠れていることがあります。「ぐずり期だから様子を見よう」と当てはめて受診を遅らせないでください。

どんなにつらくても、ゆさぶらないでください

赤ちゃんの泣きは、乳幼児揺さぶられ症候群の主な引き金になることがわかっています。強く揺さぶると頭の中で出血が起き、命にかかわったり重い障害が残ったりします。

限界を感じたら、赤ちゃんを安全な場所に仰向けで寝かせ、その場を数分離れて構いません。泣かせたままにすることに罪悪感を持つ必要はありません。厚生労働省も「赤ちゃんが泣きやまない」の資料で、泣きには始まりと終わりがあること、離れてよいことを伝えています。

よくある質問(FAQ)

Q. うちの子はぐずり期の週なのに、まったくぐずりません。おかしいですか?
A. おかしくありません。研究でも、ぐずり期にあたる週で「先週より増えた」とされたのは71%で、残りの約3割は変化なしか減っています。ぐずらないのは、むしろ過ごしやすい個性です。

Q. きょうだいで様子が全然違います。上の子はぐずり期の週でも普段どおりだったのに、下の子は毎回激しく泣きます。何かおかしいのでしょうか?
A. 個人差の範囲と考えて差し支えありません。オランダの元の研究を実際の観察で確かめ直した追試でも、10期に共通するパターンより個人差のほうが大きいという結果が出ています(de Weerth & van Geert, 1998)。同じきょうだいでも出方が違うのは自然なことです。

Q. 早く生まれた子は、どう数えますか?
A. 誕生日ではなく出産予定日を起点に数えます。予定日より3週間早く生まれた子なら、生後8週の時点が修正週齢5週です。今回の研究で差が出たのはこの数え方のときだけでした。

Q. アプリの通知どおりにぐずらないのですが。
A. ぴったり合わないほうが自然です。研究チームも、出産予定日そのものが最終月経から計算した推定値で、実際の受精日とは1週間以上ずれることがあると指摘しています。前後1週間はずれるものと考えてください。

Q. ぐずり期は成長のサインですか?
A. 提唱者はそう説明していますが、「ぐずりのあとに発達が進む」ことが別の研究チームによって確かめられているわけではありません。今回の日本の研究も、確かめたのは「ぐずりが増えるかどうか」だけです。成長のサインだと思うと気持ちが救われるのは確かなので、そう受け取ること自体は構いません。ただ、事実として確定した話ではないと知っておいてください。

Q. 夕方だけ激しく泣くのも、ぐずり期ですか?
A. 別の現象として整理されることが多いです。夕方から夜に集中する激しい泣きは黄昏泣き(乳児コリック)と呼ばれ、生後6週ごろがピークで3〜4か月ごろに落ち着くのが典型です。詳しくは赤ちゃんはなぜ泣く?にまとめています。

Q. ぐずり期のあいだ、生活リズムは崩してもいいですか?
A. 起きる時間と朝の光だけは、なるべく保つほうが戻しやすくなります。寝る時間や昼寝は一時的に乱れて構いません。月齢ごとの目安は赤ちゃんの生活リズムを参考にしてください。

まとめ

赤ちゃんのぐずり期は、日本の赤ちゃん156人を調べた研究で、ぐずり期にあたる週では71%、それ以外の週では52%が「先週よりぐずった」という差として現れました。ただしそれは、出産予定日から数えて、先週と比べたときだけです。誕生日から数えても、「いつもより」で比べても、この現象は見えませんでした。

一方で、元になったオランダの研究の追試は失敗しており、今回の研究も一つひとつの時期を確かめるにはデータが足りていません。「今週は必ずぐずる」という予言としては使えないというのが、いまわかっている範囲での正確な受け止め方です。

それでも、母子健康手帳の出産予定日から週数を数え、「これは4回目の山で、あと2週間ほどで抜ける」と見当がつくだけで、夜中の抱っこの意味は少し変わります。原因が自分にあるのではないと思えること、終わりがあると知っていること。この2つが、ぐずり期という考え方のいちばんの価値です。


主な出典
– 石川卓磨・池田一成・麦谷綾子(2024)修正週齢時,前週比較法で示唆される乳児の定期性ぐずり.東京学芸大学紀要 機構 75, 25-34. 本文(PDF)
– Rijt-Plooij HHC van de, Plooij FX (1992) Infantile regressions: Disorganization and the onset of transition periods. Journal of Reproductive and Infant Psychology 10(3):129-149.
– de Weerth C, van Geert P (1998) Emotional instability as an indicator of strictly timed infantile developmental transitions. British Journal of Developmental Psychology 16(1):15-44.
– Brazelton TB (1962) Crying in infancy. Pediatrics 29:579-588.
– Hunziker UA, Barr RG (1986) Increased carrying reduces infant crying: A randomized controlled trial. Pediatrics 77(5):641-648.
– 岡本美和子・松岡恵(2003)出産後1〜2カ月における児の持続する泣きに直面した初産婦の危機状態.日本女性心身医学 8(1):85-92.
– 藤原武男・山田不二子・宮崎祐介 監修(2012)赤ちゃんが泣きやまない ─泣きへの理解と対処のために─(厚生労働省)


価格・在庫・仕様・レビュー件数は変動します。最新情報は各商品ページでご確認ください。

運営者情報プライバシーポリシー免責事項

コメント

タイトルとURLをコピーしました