赤ちゃんの向き癖の直し方|頭の形は自然に治る?寝床にタオルを置いてはいけない理由

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この記事で分かること

赤ちゃんの向き癖の直し方でいちばん大事なのは、赤ちゃんの頭を動かそうとするのではなく、赤ちゃんが「向きたくなる側」を反対にしてしまうことです。具体的には次の5つで、どれも寝床に物を置かずにできます。

  1. 寝かせる向きを毎日入れ替える(頭と足の位置を逆にする)
  2. 声をかける側・おもちゃを置く側を、向いてほしいほうにする
  3. 授乳と抱っこの腕を毎回替える
  4. 起きているときの腹ばい遊びを増やす
  5. チャイルドシートやバウンサーで過ごす時間を短くする

逆に、丸めたタオルやクッションで頭を支える方法は、ネットや育児書でもよく紹介されますが、眠っているあいだの寝床では避けてください。寝返りをうって顔がうずまり、窒息につながる恐れがあるためです(後述します)。

そして前提として、大人が知っておくと気持ちが軽くなることがひとつあります。向き癖でできる頭のゆがみはとてもよくあるもので、米国小児科学会(AAP)の資料では、赤ちゃんのおよそ2割に見られるとされています(生後6か月時点でみた報告では2〜5割と幅があります)。しかも見た目の問題であって、脳の発達や知能に影響するという確かな医学的根拠はないと説明されています(出典:HealthyChildren.org「When a Baby’s Head is Misshapen」同「Differentiating Infant Head Shape Abnormalities」)。

以下では、5つの直し方の具体的なやり方、やってはいけない対策、時期ごとの見通し、向き癖の裏に隠れることがある斜頸(しゃけい)、受診の目安、ヘルメット治療の実際までをまとめます。なお頭の形や首の動きで気になることがあれば、自己判断せず、乳幼児健診やかかりつけの小児科で相談してください。

向き癖とは?頭の形が変わるしくみ

向き癖とは、あお向けに寝かせたときに、赤ちゃんがいつも決まった方向にばかり顔を向けてしまう状態のことです。

赤ちゃんの頭蓋骨は、生まれてしばらくのあいだは骨と骨のあいだにすき間があり、やわらかく変形しやすくできています。狭い産道を通り、その後の急激な脳の成長に対応するためです。そのぶん、同じ場所に体重がかかり続けると、その部分が平らになっていきます。

医療の場では、こうした「寝ている姿勢が原因でできる頭の変形」を位置的頭蓋変形(いちてきずがいへんけい)と呼び、大きく2つに分けます。

呼び方 どんな形か 起こりやすい状況
斜頭(しゃとう) 片側の後頭部が平らになり、上から見ると平行四辺形にゆがむ。ゆがんだ側の耳が前にずれたり、額が出て見えたりする 向き癖がある、首の筋肉に左右差がある
短頭(たんとう)/絶壁 後頭部が左右対称に平らで、頭の幅が広く見える ずっとあお向けで、腹ばいの時間が少ない

「絶壁」は短頭の俗称です。どちらも、生後4〜12週ごろに目立ちはじめることが多いとされています。あお向け寝は乳幼児突然死症候群(SIDS=健康に見えた赤ちゃんが睡眠中に亡くなる、原因のはっきりしない病気)のリスクを下げるために欠かせないものなので、「うつぶせで寝かせて頭の形を守る」という選択肢はありません。あお向け寝は続けたまま、起きている時間の使い方と向きの誘導で対策するのが基本方針になります。

赤ちゃんの向き癖の直し方|寝床に何も置かずにできる5つのこと

赤ちゃんは、明るいほう・音がするほう・人がいるほうを向きたがります。向き癖の直し方は、この性質を利用して「向いてほしい側」に興味の対象を移してしまうことに尽きます。頭を押さえて向きを変えても、たいてい数分で元に戻ってしまいます。

1. 寝かせる向きを毎日入れ替える

いちばん手軽で、効果を実感しやすい方法です。ベビーベッドや布団で、頭を置く側と足を置く側を毎日(あるいは寝かせるたびに)逆にします

部屋の中で赤ちゃんが見たいものは、たいてい決まっています。ドアの方向、窓の明るさ、大人が家事をしている場所などです。体の向きが逆になれば、同じものを見るために反対側を向くことになります。AAPも予防策として「ベビーベッドに寝かせる向きを交互に替える」ことを挙げています。

2. 声をかける側・おもちゃを置く側を変える

いつも同じ側から話しかけていないか、振り返ってみてください。おむつ替えや着替えのとき、抱き上げるときの立ち位置を反対側に変えるだけでも、顔を向ける回数が変わります。音の出るおもちゃやメリーも、向いてほしい側に置きます。ただし寝床の中にぬいぐるみやおもちゃを置いたままにしないでください。置くのは大人が見ている時間だけにして、寝床の外側から見える位置にします。

3. 授乳と抱っこの腕を毎回替える

授乳のときに抱く腕を左右で替えると、頭が触れる面と、赤ちゃんが親の顔を見るために向く方向が入れ替わります。母乳の場合は自然に左右を使いますが、ミルクの場合は同じ腕ばかりになりやすいので意識してみてください。縦抱きや抱っこ紐で過ごす時間も、後頭部への圧力から解放される時間になります。

4. 起きているときの腹ばい遊び(タミータイム)を増やす

腹ばい遊び(タミータイム)とは、赤ちゃんが起きていて機嫌のよいときに、大人が見ているそばでうつぶせで過ごす時間のことです。後頭部に体重がかからない時間そのものであり、同時に首や肩の筋肉を使うので、自分で頭の向きを変える力も育ちます。

AAPは、新生児期は1回3〜5分ほどの短い時間から始め、少しずつ伸ばして1日あたり合計で1時間ほどを目安に、何回かに分けて行うことをすすめています。嫌がる場合は、大人の胸の上にうつぶせで乗せる、丸めたタオルを胸の下に入れて少し角度をつける、といった形でも同じように首を使えます。

腹ばいは必ず「起きていて、大人が見ている時間だけ」です。途中で寝てしまったら、そっとあお向けに戻してください。 やり方のコツは首すわりの確認方法の記事で詳しく書いています。

5. チャイルドシートやバウンサーの時間を短くする

チャイルドシート、バウンサー、ベビーラック、スイングなどは、いずれも後頭部を面で支える構造で、長く過ごすほど同じ場所に圧力がかかります。AAPも、こうした器具で過ごす時間が長くなりすぎないようにと注意を促しています。

移動や安全のために必要な場面はもちろん使ってください。避けたいのは、そのまま寝てしまった赤ちゃんを、長時間その姿勢のまま置いておくことです。着いたら平らな寝床に移す、というだけでも違います。

やってはいけない対策:眠っているあいだ、寝床で頭を固定する

「向き癖 直し方」で調べると、丸めたタオルやバスタオルを頭の横に置いて向きを固定する方法が今もよく紹介されます。効きそうに見えますが、赤ちゃんが眠っている寝床でこれを行うのは避けてください。

こども家庭庁は、赤ちゃんの睡眠環境についてやわらかいクッションや傾斜したマットレスを避け、硬めで平坦な寝具を使うことを呼びかけています。SIDSでは令和6年に55名の赤ちゃんが亡くなっており、乳児期の死亡原因の第3位です(出典:こども家庭庁「赤ちゃんが安全に眠れるように」)。

さらに、頭や体の向きを固定する目的で売られている乳児用スリープポジショナー(寝返り防止クッション)について、米国のFDA(食品医薬品局)とCPSC(消費者製品安全委員会)は、関連する12件の乳児死亡例が報告されたことから使用しないよう呼びかけています。SIDSの予防や頭の形の改善をうたう製品もありますが、それを裏づける医学的根拠はないとされています(出典:FDA「Recommendations for Parents/Caregivers About the Use of Baby Products」)。

タオルやクッションで向きを支えるなら、大人が見ている、起きている時間の遊びのあいだだけにしてください。眠ってしまったら外す。ここが、安全と対策を両立させる境目です。

頭の形はいつまでに整う?時期ごとの見通し

対策には「効きやすい時期」があります。頭蓋骨がやわらかいうちのほうが形が変わりやすいので、早い時期ほど手をかけた分が返ってきやすく、月齢が進むほど変化はゆっくりになります。

時期 頭の形の状況 この時期にできること
生後0〜3か月 変形が目立ちはじめる時期。自分では向きを変えられない 寝かせる向きの入れ替え、抱っこ・授乳の左右替え、短い腹ばいを毎日
生後3〜5か月 対策がいちばん効きやすい時期。首がすわり、自分でも向きを変えはじめる 腹ばいの時間を伸ばす。左右差が大きいと感じたら健診で相談
生後5〜6か月 変化がゆるやかになる。ヘルメット治療を検討するならこの時期 中等度以上のゆがみが残るなら医療機関に相談
生後6か月以降 寝返り・おすわりで自分から動くようになり、頭にかかる圧力が分散する 特別なことをしなくても目立たなくなっていくことが多い

AAPは、多くの赤ちゃんが生後6か月ごろまでにはよく動くようになり、自分で頭の位置を変えられるようになると説明しています。髪が生えそろってくることもあって、1歳前後には気にならなくなったという家庭は多いものです。

ただし、程度が強い場合は自然にまかせるだけでは戻りにくいとも指摘されています。「そのうち治る」と「気になるなら相談する」は矛盾しません。左右差がはっきりしていて気になるなら、6か月を待たずに一度小児科で見てもらうほうが、選べる手が多い時期に判断できます。

向き癖の裏に「斜頸」が隠れていることがある

いくら向きを誘導しても反対側を向かない、という場合に考えたいのが斜頸(しゃけい)です。

斜頸とは、首の筋肉(主に耳の下から鎖骨に伸びる胸鎖乳突筋)が片側だけ縮んだり硬くなったりして、首が傾いたり、片側を向きにくくなったりする状態のことです。AAPの資料では、斜頸のある赤ちゃんの約85%に、寝ている姿勢による頭の変形(位置的頭蓋変形)が見られるとされています。首が片側に向きにくければ、その向きで過ごす時間が長くなり、頭の形にも表れるということです。「向き癖があるから頭がゆがむ」だけでなく、「首が向きにくいから向き癖になる」という順序もあります。

生まれつきのものは先天性筋性斜頸と呼ばれます。東京科学大学整形外科の解説では、生後1か月ごろに、首をどちらかに傾げる、首にしこりがある、といったことで気づかれ、多くは1歳までに自然に改善します。家庭では、硬いほうの側を向きたくなるように環境を整える(その側に添い寝する、おもちゃを置く)ことが指導されます。3歳を過ぎても傾きが残る場合には手術を検討します(出典:東京科学大学 整形外科「先天性筋性斜頸」)。

次のようなときは、向き癖対策を続ける前に一度受診してください。

  • 首の片側にしこりのようなふくらみが触れる
  • 顔を反対側に向けようとすると、強く抵抗する・嫌がって泣く
  • 抱っこしているとき、いつも頭が同じほうに傾いている
  • 反対側を向く角度が、明らかに狭い

首の状態が原因であれば、家庭での向きの工夫だけでは限界があります。医療機関では、月齢に応じた首のストレッチやリハビリの指導を受けられることがあります。自己流で首を強く動かすことはせず、必ず専門家の指導のもとで行ってください。

受診の目安と、「病気による頭の形」との違い

頭の形の変化のほとんどは、寝ている姿勢によるものです。ただし、まれに頭蓋縫合早期癒合症(ずがいほうごうそうきゆごうしょう)という病気が隠れていることがあります。頭蓋骨のつなぎ目が通常より早くくっついてしまうもので、AAPは、こちらは生まれつきのもので、姿勢による変形とは出生時から区別できること、脳への圧迫につながりうるため早期に専門医への紹介が必要であることを説明しています。

見分けは専門家の仕事です。家庭で判断しようとせず、次のようなときは早めに小児科で相談してください。

  • 生まれたときから頭の形が明らかにいびつだった
  • 月齢が進んでもゆがみが強くなっていくように見える
  • 頭のつなぎ目に沿って、硬い盛り上がり(骨のすじ)が触れる
  • 頭の大きさの伸びが、母子健康手帳の発育曲線から外れていく

なお、頭の形は髪が乾いているとわかりにくいものです。AAPは、お風呂あがりで髪がぬれているときに真上から見て、耳の位置がずれていないか、額の張り出しに左右差がないかを確認するとよいとしています。同じ角度で月に一度写真を撮っておくと、変化を自分で追えて、受診のときにも役立ちます。

ヘルメット治療とは?始める時期と費用

ヘルメット治療(頭蓋形状矯正ヘルメット)は、赤ちゃんの頭に合わせて作ったヘルメットをかぶり、平らになった部分に成長する余地を作って形を整えていく方法です。骨を押して矯正するのではなく、伸びる方向を誘導するという考え方なので、頭が大きく成長する時期にしか使えません。

AAPは、中等度から重度の平坦化があり、生後5〜6か月までの対策で改善しない場合にヘルメット治療が検討されるとしています。日本でも、医療機器として承認された複数の製品が使われています。

費用は保険適用外の自費診療で、医療機関や製品によって異なります。一例として、スターバンドを扱うAHS Japanは装置・調整・技術料を含む総額を473,000円(税込、スターバンド3Dは495,000円)と公表しています。医療費控除の対象になるかどうかは個別の事情や税務署の判断によるため、確認が必要とされています(出典:AHS Japan「ヘルメット治療の費用・料金」)。金額は改定されることがあるので、検討する際は必ず受診先で最新の説明を受けてください。

装着は入浴や汗を拭く時間以外はかぶり続ける形で、スターバンドの場合は1日23時間程度が目標とされています(開始直後は短時間から慣らしていきます)。汗や皮膚のトラブルへの対応も必要です。治療するかどうかはゆがみの程度・月齢・家庭の考え方によるので、受けないという選択も十分にあり得ます。まずは小児科や、頭の形の外来がある医療機関で、今の状態が治療の対象になるのかを聞くところからで構いません。

ベビー枕(ドーナツ枕)はどう考えればいい?

中央がくぼんだドーナツ型のベビー枕は、後頭部の一点に体重が集中しにくいよう作られた製品です。使っている家庭は多く、「向きが変わりやすくなった」と感じる声もあります。

ただし、枕は医療機器ではなく、ヘルメット治療の代わりになるものではありません。頭の形の変化には個人差が大きく、枕だけで整うと期待しすぎないほうが、結果的に落ち着いて向き合えます。また、寝床に物を増やすことになるので、製品ごとの対象月齢と注意書きを守り、寝返りが始まったら使用を続けてよいかを必ず確認してください。周囲にやわらかい寝具やぬいぐるみを密着させないことも大切です。

製品ごとの違いや選び方はベビー枕(ドーナツ枕)の比較記事にまとめています。寝返りが始まる時期の寝床の考え方は寝返りの練習は必要?の記事を参考にしてください。

やりがちな失敗

1. 対策を1週間で「効かない」と判断する
頭の形は骨の成長にともなって変わるので、変化が見えるまでに数週間から数か月かかります。毎日鏡で見比べると差がわからず疲れてしまうので、写真を月1回撮って比べるくらいがちょうどよい間隔です。

2. 向き癖対策のためにうつぶせで寝かせる
頭の形のために、SIDSのリスクを上げる寝かせ方をする理由はありません。1歳になるまでは、寝かせるときはあお向けにしてください。

3. 首が向きにくいのに、家庭の工夫だけで続けてしまう
反対を向かせようとすると強く嫌がる、首にしこりがある、といったサインがあるときは、環境の工夫より先に受診です。斜頸が関係している場合、時期を逃さないほうが対応の選択肢が広がります。

4. 「いつか治る」と言われて相談をやめてしまう
多くは目立たなくなりますが、程度が強い場合は例外もあります。気になっているのに相談できていない状態がいちばんつらいので、健診の場で写真を見せながら聞いてみてください。

よくある質問

Q. 向き癖は何か月ごろまでに直しておくべきですか。

A. 頭蓋骨がやわらかく、対策が効きやすいのは生後5〜6か月ごろまでです。それ以降は寝返りやおすわりで自分から動くようになり、頭にかかる圧力が分散していきます。ヘルメット治療を検討する場合も、この時期がひとつの節目になります。

Q. 後頭部が平らなままです。大人になっても残りますか。

A. 多くは成長とともに目立たなくなり、髪が生えそろうことでさらにわかりにくくなります。程度が強く気になる場合は、自己判断せず小児科で相談してください。

Q. 向き癖のある側と反対に、タオルを入れて支えるのはだめですか。

A. 起きていて大人が見ている遊びの時間なら構いませんが、眠っているあいだの寝床では避けてください。顔がうずまったり、寝返りをうったときに危険な姿勢になったりする恐れがあります。

Q. 腹ばい遊びを嫌がって泣きます。やめてもいいですか。

A. 長さより回数です。1回1分でも、日に何度か繰り返すほうが赤ちゃんも嫌になりにくくなります。大人の胸の上でうつぶせにする、機嫌のよい時間帯を選ぶといった工夫も効きます。まったくできない日があっても問題ありません。

Q. 上の子は何もしなくてもきれいな形でした。下の子だけゆがむのはなぜですか。

A. 頭の形には、生まれつきの骨のやわらかさ、赤ちゃんの好む向き、首の筋肉の左右差、おなかの中での姿勢など複数の要因が関わります。育て方の差というより個人差の面が大きいので、上の子と比べて自分を責める必要はありません。

まとめ

赤ちゃんの向き癖の直し方は、頭を動かすことではなく、向きたくなる理由のほうを反対側に置き替えることです。寝かせる向きを毎日入れ替え、声をかける側とおもちゃの位置を変え、抱っこと授乳の腕を替え、起きている時間に腹ばいを重ねる。この積み重ねが、いちばん安全で無理のない方法になります。眠っているあいだにタオルやクッションで頭を固定するのは避けてください。寝床は硬めで平坦に、余計な物は置かない。この原則は頭の形よりも優先されます。

向き癖でできる頭のゆがみはよくあることで、多くは生後6か月を過ぎて自分から動くようになるにつれて目立たなくなっていきます。ただし、反対を向きたがらない、首にしこりが触れる、ゆがみが強くなっていくように見える、といったときは別です。写真を撮って、健診やかかりつけの小児科で見てもらってください。心配を抱えたまま様子を見続けるより、そのほうがずっと早く安心にたどり着けます。


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