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この記事で分かること
手づかみ食べをしない・嫌がるのは、離乳食後期(生後9〜11か月頃の、1日3回食になる時期)にはとてもよくあることです。そして原因の多くは、赤ちゃんのやる気ではなく、次の3つのどれかです。
- 食べ物が持てる形になっていない(小さく切りすぎ、つるつる滑る、崩れる)
- 姿勢が安定していない(足がぶらぶらして、手を自由に使えない)
- 大人が先に口へ運びすぎている(自分で手を出す必要がない)
時期の目安は生後9か月頃から。厚生労働省が2019年3月に改定した「授乳・離乳の支援ガイド」(現在はこども家庭庁が公開)には、手づかみ食べは生後9か月頃から始まり、1歳過ぎの子どもの発育及び発達にとって、積極的にさせたい行動であると書かれています。とはいえこれは「9か月になったらできる」という意味ではなく、1歳を過ぎてから始まる子も珍しくありません。
以下では、手づかみ食べとは何をしている行動なのか、始まる時期の目安、つかもうとしない5つの理由と対処、握れる切り方の具体的なサイズ、窒息を防ぐために必ず守りたいこと、片づけを軽くする工夫、相談したほうがいい目安の順にまとめます。離乳食全体の流れは離乳食はいつから?初期・中期・後期の進め方をご覧ください。
なお食べる量や進み方には大きな個人差があります。気になることは自己判断せず、乳幼児健診やかかりつけの小児科、自治体の栄養相談で相談してください。
そもそも手づかみ食べとは?なぜ「させたい行動」なのか
手づかみ食べとは、赤ちゃんが食べ物を自分の手でつかみ、自分で口まで運んで食べることです。ただ手を汚しているように見えて、実際には同時に3つのことを練習しています。なお以下に出てくる協調運動とは、目・手・口のように別々の部位を連動させて一つの動作をすることです。
- 目と手と口の協調運動:目でどこにあるか確かめ、手を伸ばし、口の位置まで正確に運ぶ。この一連の動きは、のちのスプーンやフォークの土台になります
- 一口量の学習:前歯でかじり取ることで、「自分の口にはこのくらい入る」を体で覚えます。大人に一口ずつ入れてもらっているうちは、この感覚を試す機会がありません
- 力加減の学習:豆腐は崩れる、にんじんは硬い。握りつぶして初めて、食べ物ごとの持ち方を覚えます
押しつぶすだけ、投げるだけの日が続いても、それも力加減を試している段階なので、失敗ではありません。
一方で、手づかみ食べをしなかったからこの先の発達が遅れる、と決まっているわけではありません。スプーンの練習から自分で食べるようになる子もいます。「やらせなければ」と追い込む必要はなく、やりたがったときにやれる環境を用意しておく、くらいの構えで十分です。
手づかみ食べはいつから?時期の目安
始まる時期はかなり幅があります。ざっくりとした流れは次のとおりです。
| 時期の目安 | 手の使い方 | 食事での様子 |
|---|---|---|
| 生後7〜8か月頃 | 手のひら全体で物をつかむ | 皿やスプーンに手を伸ばす。食べ物を握って離さない |
| 生後9〜11か月頃 | 握った物を口へ運べる。10か月頃から親指と人差し指でつまむ動きが出てくる | スティック状のものをかじり取る。まだこぼす量のほうが多い |
| 1歳〜1歳半頃 | 小さいものを指先で確実につまめるようになる | 小さめの塊もつまめる。スプーンにも興味が出る |
大事なのは「まだ指先で細かくつまむのは難しい」という点です。生後9か月頃の赤ちゃんは、多くの場合まだ手のひら全体で握る段階にいます。親指と人差し指でつまむ動き(いわゆる指先つまみ)が出てくるのは生後10か月頃からで、小さいものを確実につまめるようになるのは1歳前後です。
つまり、大人が親切心で一口大の小さなサイコロに切ってしまうと、握れないので手を出さない——これが「手づかみ食べをしない」の非常によくある正体です。始めるときは、小さく切るのではなく手からはみ出る長さの棒状にしてください。
なお離乳食後期の固さの目安は、歯ぐきでつぶせるバナナくらいとされています。これは手で持ったときに崩れず、前歯でかじり取れる固さでもあるので、手づかみを始めるのにちょうどよい時期が重なっていることになります。
手づかみ食べをしない・嫌がる5つの理由と対処
1. 持てる形になっていない
最も多い原因です。小さすぎてつまめない、つるつる滑る、握ると崩れる、熱い。どれも赤ちゃんからすると「持てないもの」です。
対処:まずは長さ7〜8cm・太さ1〜1.5cm程度のスティック状に。握った手から先が少し出るくらいが、かじり取りやすいサイズです。表面がぬるっとするものは、きな粉や青のりを薄くまぶすと持ちやすくなります。
2. 姿勢が安定していない
見落とされがちですが重要です。足が床や足置きに着いていないと、体を支えるのに手を使ってしまい、食べ物をつかむ余裕がありません。椅子が大きすぎて体が沈む場合も同じです。
対処:足の裏がぴったり着く高さに足置き板を調整し、背中と椅子の間にすき間があればタオルを挟んで体を起こします。テーブルの高さは、赤ちゃんが軽くひじを乗せられるくらいが目安です(ベビーチェアの選び方と比較)。そもそも支えなしで安定して座れているかは腰すわりの確認方法で確かめられます。
3. 大人が先に口へ運びすぎている
食べさせてもらったほうが早くて確実なら、わざわざ手を汚す理由がありません。手づかみ用のメニューを出していても、大人のスプーンが先に届いていると、手を出す隙がなくなります。
対処:手づかみ用のものは、赤ちゃんの手が届く場所に先に置いて数十秒待つ。その間はスプーンを止めます。うまくいかない日は、大人も同じものを目の前で手に持って食べてみせると、まねをすることがあります。
4. 手が汚れる感覚が苦手
べたつく、ぬれる、という感覚を強く嫌がる子もいます。無理に握らせると、食事そのものが嫌になりかねません。
対処:乾いていて手に残らないものから始めます。トーストしたパンのスティック、蒸しパン、赤ちゃん用のせんべいやボーロなどが入りやすい入口です。慣れてきたら、少しずつしっとりしたものに広げます。手をふけるおしぼりを本人の横に置いておくと、自分でふきながら食べ進められる子もいます。
5. お腹が空いていない・食事に興味が向いていない
授乳やおやつの間隔が近い、活動量が少ない、眠い。この状態では、そもそも食べる意欲が出ません。
対処:食事の2時間前くらいからは授乳・おやつを控える、午前中に体を動かす時間をつくる、眠くなる前の時間帯に食事を持ってくる。この3つで変わることがあります。
つかめる切り方と、向く食材・向かない食材
最初に出すのは主食1品だけで十分です。全部を手づかみメニューにすると、食べる量が減って親のストレスも増えます。
| 食材 | 切り方・出し方の目安 | 手づかみへの向き |
|---|---|---|
| 食パン(耳を落とす) | 1〜1.5cm幅のスティック。軽くトーストすると崩れにくい | ◎ 最初の1品に向く |
| ゆでたにんじん・大根 | 7〜8cmの棒状。歯ぐきでつぶせる柔らかさまで加熱 | ◎ 握りやすく崩れにくい |
| じゃがいも・さつまいも | 蒸してスティック状。ぱさつくときは少量の水分を混ぜて成形 | ○ 口の中でまとまりにくいので汁物を添える |
| 軟飯・ごはん | 一口大の小さめおにぎり。海苔を巻くと持ちやすい | ○ 手に付きやすいので慣れてから |
| ゆでたブロッコリー | 房の部分を持ち手にして、茎を短く残す | ○ 持ち手があるので握りやすい |
| バナナ | 皮を半分残して持ち手にする | ○ ただしつぶれやすい |
| ゆで卵の黄身・ぱさつく肉 | そのままは口に残りやすい。つなぎを入れて団子状に | △ 単体では出しにくい |
| こんにゃく・かまぼこ・ちくわ | 弾力が強く、かみ切れずに丸のみしやすい | × この時期は避ける |
判断の基準はシンプルで、「握っても崩れない」「歯ぐきでつぶせる」「かじり取れる」の3つを満たすかどうかです。
窒息を防ぐために必ず守ること
自分で口に運ぶということは、大人が量を調整できないということでもあります。手づかみ食べを始めるときは、次の点を必ず守ってください。
- 丸くてつるっとした食品は4等分にする。消費者庁は、ミニトマトやぶどうなどについて「乳幼児には、4等分する、調理して軟らかくするなどして、よくかんで食べさせましょう」と注意を呼びかけています
- 硬い豆やナッツ類は5歳以下には食べさせない。同じく消費者庁が、かみ砕く必要のある硬い豆・ナッツ類は5歳以下の子どもには与えないよう注意喚起しています。細かく砕いても気管に入ると気管支炎や肺炎につながるおそれがあるとされています
- 座って食べる。食べているときは目を離さない。口に物を入れたまま走る・笑う・泣く・声を出すと、誤って吸い込むおそれがあります。歩き回りながら食べさせない、寝ながら食べさせないのが基本です
- 一度に皿へ出す量を減らす。口いっぱいに詰め込んでしまう子には、1〜2個ずつ出して、飲み込んでから次を出します
万一のどに詰まらせたときの対応(背中を強くたたいて吐き出させる背部叩打法など)は、自治体や消防の救命講習で一度実際に習っておくと安心です。あわてているときに文字だけを思い出すのは難しいためです。
散らかる・汚れる問題を軽くする工夫
手づかみ食べが続かなくなる大きな理由は、正直なところ大人の後片づけの負担です。ここを軽くしておくことが、結果的に続けるコツになります。
- 時間で区切る:だらだら続けず、15〜20分程度を上限にする。あらかじめ時間を決めておくと、まだ食べるかもと待ち続けずに済みます
- 落ちる前提で床を守る:椅子の下に新聞紙やレジャーシート、あるいは洗えるマットを敷いておくと、拾う作業がまとめて終わります
- 服は最初から覆っておく:袖まで覆えるタイプや、食べこぼしを受けるポケット付きのものを使うと、着替えの回数が減ります(お食事エプロンの比較)
- 食器は動かないものに:滑ってひっくり返る皿は、それだけで機嫌が悪くなります。裏に吸盤が付いたタイプや、重さのある食器が扱いやすくなります(離乳食の食器セット比較)
- 飲み物は別で:手が汚れたままコップを持つとさらに広がるので、飲む場面は大人が持ってあげるほうが早く済みます(ストローマグの比較)
やりがちな失敗3つ
小さく切りすぎる。先に触れたとおり、この時期はまだつまめません。一口大に切ると握れずに手が出ないうえ、口に入れば丸のみになりやすく、かじり取る練習にもなりません。
全部を手づかみメニューにする。食べる量が落ちて栄養面が心配になり、結局やめてしまうパターンです。主食1品だけを手づかみにして、残りは大人がスプーンで補うほうが長続きします。
投げた瞬間に強く叱る。投げる・つぶすも力加減を試している段階です。とはいえ延々と付き合う必要はなく、遊び始めたらその回は切り上げると決めておけば、叱らずに終われます。
相談したほうがいい目安
次のような様子が続くときは、乳幼児健診やかかりつけの小児科、自治体の栄養相談で一度相談してみてください。
- 1歳半を過ぎても、自分で食べようとするそぶりがまったく見られない
- 物をつかむ・握るという動作自体が難しそうに見える
- 食べられるものが極端に限られていて、体重が増えていかない
- 食事のたびにむせる、せき込む、飲み込みにくそうにする
繰り返しになりますが、進み方には大きな個人差があります。ここに当てはまったからといって何かがあると決まるわけではなく、専門家に一度見てもらうことで解決の糸口が見つかることがある、という意味です。
よくある質問
Q. 手づかみ食べはいつまで続けるものですか?
A. 「◯歳で終わり」という区切りはありません。スプーンやフォークを使い始めても、しばらくは手づかみと併用するのが普通です。おおむね2歳前後にかけて、自然と道具のほうが増えていきます。
Q. スプーンはいつから持たせればいいですか?
A. 手づかみ食べが安定してきた1歳前後から少しずつで十分です。最初はうまくすくえないので、大人が食べさせる用と本人が持つ用の2本を用意しておくと、食事が進みつつ練習にもなります。詳しくは幼児食はいつから?離乳食からの切り替えもどうぞ。
Q. 握りつぶしたり投げたりするだけで、口に入れません。これも手づかみ食べですか?
A. 手で触れて確かめている段階なので、途中経過と考えて問題ありません。ただし投げるのが目的になっているようなら、集中が切れたサインです。その回は切り上げてかまいません。
Q. 1歳半になっても手づかみ食べをしませんでした。大丈夫でしょうか?
A. 手づかみをしないまま、スプーンから自分で食べるようになる子もいます。ただし「自分で食べようとする気配がまったくない」場合は理由がある可能性があるので、健診の機会に相談してみてください。
Q. 赤ちゃんせんべいやボーロは練習になりますか?
A. 持ちやすく手が汚れないので、手づかみの入口としては使いやすい食品です。ただしそればかりだと食事量が減るので、食事の中で使う練習用と位置づけ、おやつとして与える量は決めておくのがおすすめです。
まとめ
手づかみ食べをしないとき、まず疑うのは意欲ではなく形・姿勢・タイミングです。
- 時期の目安は生後9か月頃だが、1歳過ぎに始まる子も珍しくない
- つかまない最大の原因は小さく切りすぎ。7〜8cmのスティック状から始める
- 足が着いているかを確認する。手を自由に使えない姿勢では手づかみは起きにくい
- 手づかみは主食1品だけから。全部をそうすると食べる量が落ちて続かない
- 丸い食品は4等分、硬い豆・ナッツは5歳以下には与えない。座って、目を離さない
- 散らかるのは前提。床とエプロンを先に用意して、15〜20分で切り上げる
うまくいかない日があっても、進み方には大きな個人差があります。心配なことは自己判断せず、健診やかかりつけの小児科、自治体の栄養相談で気軽に相談してください。
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