つかまり立ちが早い赤ちゃんは、小学生になっても体をよく動かす子に?研究でわかったことと家庭でできること

tsukamaridachi-hayasa-katsudouryou 育児のヒント

※本ページはアフィリエイト広告(PR)を含みます。

この記事で分かること

つかまり立ちを覚えた月齢が遅いほど、小学1年生になってから活発に体を動かす時間が短い傾向がある——そんな関連を報告した日本の研究があります。使われたデータは特別なものではなく、多くの家庭にある母子手帳の記録です。

ただし先に結論を言うと、「早く立たせれば運動好きになる」という話ではありません。研究チーム自身が「因果関係を示せたわけではない」と明記している、予備的な段階の結果です。この記事では研究の中身を正直に紹介したうえで、家庭でできることを整理します。はいはい・つかまり立ちの時期の目安そのものははいはいをしないでつかまり立ちにまとめています。

研究でわかったこと——母子手帳の記録から見えた関連

紹介するのは、青山ほかによる研究です(Aoyama T, et al., 2023, JSAMS Plus)。

やったこと:関東地方(東京・千葉・茨城)の小学校5校に通う小学1年生211人(男児126人・女児85人、平均年齢82.9か月)を対象に、母子健康手帳に親が記録していた6つの粗大運動マイルストーンの達成月齢を集めました。

マイルストーン 達成した平均月齢
首すわり(うつぶせで頭を持ち上げる) 3.3か月
おすわり 6.6か月
はいはい 8.0か月
つかまり立ち 8.3か月
伝い歩き 9.4か月
ひとり歩き 12.8か月

そのうえで、小学1年生になった時点の体を動かす量を三軸加速度計(体の揺れ・動きを数値として客観的に記録する小型の測定器)で14日間測定し(1日10時間以上装着できた記録のみ使用)、体脂肪率をDXA(骨密度なども測れる精密な測定法)で調べ、現在の運動スキルもテストで確認しました。

わかったこと:性別・出産時の週数・母の年齢・出生順位・学校・現在の運動スキル・加速度計の装着時間を差し引いても、つかまり立ちを覚えた月齢が1か月遅いごとに、小学1年生になってからの「活発に体を動かす時間」が1日あたり平均3.6分短いという関連が見られました(β=−.17、95%信頼区間 −6.6〜−0.6分、p=.021)。なお、6つのマイルストーンのうち有意な関連が確認されたのはつかまり立ちだけで、首すわり・おすわり・はいはい・伝い歩き・ひとり歩きの時期とは、はっきりした関連が見られませんでした。

「1日3.6分」という数字は、単体で見るとピンとこないかもしれません。目安として、WHOは5〜17歳の子どもについて「1日平均60分以上の中〜高強度の運動(歩く・走る・遊具遊びなど)」を推奨しています。3.6分はその6%ほどにあたる計算です。個々の子どもに必ず当てはまる差ではなく、あくまで集団全体で見たときの平均的な傾向である点には注意が必要ですが、無視してよいほど小さい数字でもない、という受け止め方が実態に近いと思います。

さらに、はいはい・つかまり立ち・伝い歩きの3つは、達成が遅いほど小学生時点の体脂肪率がやや高い傾向とも関連していました(p=.002〜.033)。「では、動く時間が短いのは体脂肪が多いせいでは?」と考えたくなりますが、体脂肪率を計算式に加えてもつかまり立ちと運動時間の関連は消えず(p=.048で有意のまま)、体脂肪が間に入って説明する効果は統計的に確認されませんでした(間接効果の95%信頼区間は−1.43〜0.35で、0をまたいでいる=有意でない)。

つまり「つかまり立ちが遅い→太りやすい→動かなくなる」という単純な説明ではなさそうだ、というのがこの研究のもう一つの発見です。何が間に入っているのかは、この研究だけでは分かりません。

研究チーム自身はこの結果をどう説明しているか

論文の考察で、著者たちは次のように述べています。

「本研究では因果関係を示すことはできなかったが、早期の粗大運動発達を促すことは、長期的に見て良い影響をもたらす可能性がある」

正直な言い方だと感じます。「時期が早い子ほど、後年よく動いていた」という関連は見つかりましたが、つかまり立ちを急がせれば運動好きになる、と証明されたわけではありません。早く動けるようになる子は、そもそも床で過ごす時間が長い、体を動かす機会に恵まれているなど、他の要因が背景にある可能性も十分にあります。

知っておきたい注意点・研究の限界

著者自身が論文中で挙げている限界も含め、押さえておきたい点です。

  • 後ろ向き・探索的な研究で、対象人数も先行研究より少ないため、著者自身が「知見は予備的」と明記しています。著者たちは、出生時から追跡する、より大規模な前向き研究が今後必要だとも述べています。
  • 月齢の記録は親まかせです。母子手帳への記入は保護者の裁量に委ねられているため記録が抜けているデータもあり、著者自身が「記録の欠落による未知の偏りが結果に影響した可能性がある」と注意を促しています。
  • 対象は関東地方の3県・5校に通う小学1年生という限られた集団です。日本全体、まして海外の子どもにそのまま当てはまるとは限りません。
  • 示されているのはあくまで平均的な関連で、個人差のほうがずっと大きい領域です。つかまり立ちが多少ゆっくりでも、後年活発に動く子はたくさんいます。
  • 相関と因果は別物です。つかまり立ちの時期そのものが原因なのか、その背景にある育児環境(床で遊ぶ機会の多さなど)が両方に影響しているのかは、この研究だけでは切り分けられません。

家庭でできること——急がせるのではなく、機会を増やす

この研究から引き出せる家庭向けのメッセージは、「つかまり立ちの練習をさせる」ではなく、「体を動かす機会を、日々の生活の中にたくさん用意する」ことだと考えます。

  • うつぶせ・床遊びの時間をたっぷり確保する。 WHOのガイドラインでも、まだ自分で移動できない赤ちゃんについて「起きている間に、うつぶせ遊びを含む床の上での活動を1日合計30分以上」が目安として示されています。
  • 抱っこ紐・ベビーカー・バウンサーに入れっぱなしにしない。 同じガイドラインは、ベビーカーやハイチェア、抱っこ紐などで1回1時間以上続けて体を固定しないことも挙げています。移動や外出のための短時間の利用は問題ありませんが、家にいる間はできるだけ床に下ろす時間を作るとよさそうです。
  • 手の届く場所におもちゃを置き、少し先に興味を移す。 寝返り→おすわり→はいはい→つかまり立ちへと、自分から手を伸ばしたくなる配置を意識するだけで十分です。無理に体を支えて立たせる必要はありません。
  • 安全な床環境を先に整える。 自由に転がる・はいはいする時間を増やすほど、床の硬さや段差、コード類が気になってきます。クッション性のある床材を敷いておくと、大人も安心して床遊びの時間を増やせます。厚み・防音等級・敷ける広さで選び方が変わるので、他の選択肢と比べたい場合はジョイントマットおすすめ比較も参考にしてください。
  • 歩行器の多用には注意が必要です。 消費者庁は、歩行器での段差からの転落・転倒事故を注意喚起していますし、米国小児科学会は販売禁止を提言、カナダでは販売自体が禁止されています。早く歩かせたい気持ちから頼りたくなることもありますが、今回の研究も「機器で歩行を促す」ことの効果を調べたものではありません。
  • つかまり立ちを誘う遊具はあってもよい。 手を伸ばして自分でつかまりたくなるおもちゃは、無理に立たせるのではなく「自分から動きたくなる」きっかけになります。

はいはい・つかまり立ちの時期そのものの目安や、片側だけ使っていないかなど相談を考えるサインについてははいはいをしないでつかまり立ちに、その先の1歳で歩かないのは遅い?にも合わせて整理しています。

こんなときはこれ——早見表

こんなとき まずこれ 理由
つかまり立ちがまだで焦る 練習させるより、床で過ごす時間を増やす 研究は練習の効果ではなく、日々の達成時期との関連を見たもの
バウンサー・抱っこ紐で過ごす時間が長い 家にいる間は1時間ごとに床に下ろす時間を作る WHOは拘束具での連続利用を1時間までを目安としている
上の子がいて床遊びの時間が取りにくい 上の子の遊び時間に合わせて赤ちゃんも床に寝かせる まとまった時間でなくてもよい、日常の合計時間が目安
体重が気になる 体脂肪率だけを気にしすぎない 今回の研究では体脂肪は運動時間の関連を説明する要因ではなかった
歩行器を使いたい 使うとしても短時間・目を離さず 事故リスクへの懸念から専門機関は多用を勧めていない
すでに小学生で、当時つかまり立ちが遅かった 過去の月齢は気にせず、今の生活習慣を見直す この研究が見ているのは月齢の記録のみで、その後の育て方の効果は調べていない

よくある質問

Q. つかまり立ちを早くさせるトレーニングをすれば、将来運動好きになりますか?
A. そう言い切ることはできません。この研究は「達成時期が早い子ほど、後年よく動いていた」という関連を見つけただけで、練習によって時期を早めた場合の効果を確かめたものではありません。著者自身も因果関係は示せていないと明記しています。

Q. うちの子はまだつかまり立ちをしません。心配すべきですか?
A. 時期の個人差はとても大きく、この研究1本で不安になる必要はありません。一般的な時期の目安や相談を考えるラインははいはいをしないでつかまり立ちにまとめています。

Q. 体脂肪が多いと運動しなくなるということですか?
A. 今回の研究では、つかまり立ちが遅いことと体脂肪率の高さには関連が見られましたが、体脂肪の高さが「運動時間の短さ」を説明する要因ではありませんでした。別の何かが間に入っている可能性があります。

Q. 結局、家庭では何をすればいいですか?
A. つかまり立ちを急がせるのではなく、うつぶせ遊びや床遊びの時間を1日の中にこまめに作ること、抱っこ紐やバウンサーに長時間入れっぱなしにしないことです。

Q. うちの子はもう小学生で、当時つかまり立ちが遅かったのですが、今からでは遅いですか?
A. 遅くありません。この研究が扱っているのは「乳児期の月齢の記録」と「小学1年生時点での運動量」の関連であって、その間にどう育てたかの効果は調べていません。過去の月齢を変えることはできませんが、今日から外遊びや体を動かす機会を増やすことに意味がないとは、この研究からは言えません。

Q. この研究は日本の話ですか?
A. はい。関東地方の小学校に通う小学1年生211人を対象にした、日本発の研究です。対象人数が限られ、後ろ向きの探索的な調査であるため、著者自身が「予備的な結果」と位置づけています。

まとめ

母子手帳に記録された「つかまり立ち」の月齢が、小学1年生になってからの体を動かす時間と関連していた——という、身近な記録から見えてきた興味深い研究でした。ただし対象は211人、後ろ向きの探索的な調査で、著者自身が「予備的」「因果関係は示せていない」と正直に述べています。

家庭で意識したいのは、つかまり立ちを急がせることではなく、うつぶせ遊び・床遊びの時間を日々の生活にこまめに用意し、抱っこ紐やバウンサーに入れっぱなしにしないことです。焦らず、赤ちゃんが自分から動きたくなる環境を整えることから始めてみてください。


主な出典
– Aoyama T, Hikihara Y, Watanabe M, Wakabayashi H, Hanawa S, Omi N, Takimoto H, Tanaka S (2023) Infant gross motor development and childhood physical activity: Role of adiposity. JSAMS Plus 2:100021.
– World Health Organization (2019) Guidelines on physical activity, sedentary behaviour and sleep for children under 5 years of age.
– World Health Organization (2020) Guidelines on physical activity and sedentary behaviour for children and adolescents aged 5–17 years.


価格・在庫・仕様・レビュー件数は変動します。最新情報は各商品ページでご確認ください。

運営者情報 | プライバシーポリシー | 免責事項

コメント

タイトルとURLをコピーしました