おむつかぶれが治らないときに確かめる3つのこと|見た目で分かる原因の違いと、家庭でできる4ステップ

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この記事で分かること

こまめに替えているのにおむつかぶれが治らないときは、ケアの回数を増やすより先に「原因が違わないか」を確かめてください。 2〜3日ケアを続けても改善しない、あるいは悪化しているというのは、アメリカ小児科学会(AAP)が小児科に相談する目安として挙げている状態そのものです。

見分けの決め手は、意外なほど単純です。

  1. 股のくびれ・しわの奥まで赤いか(おむつが当たっていない凹んだ部分が赤いなら、カビによる皮膚炎の可能性)
  2. 拭き方・洗い方が刺激になっていないか(治そうとする手入れが悪化の原因になっていることがあります)
  3. 最近、抗菌薬(抗生物質)を飲んだか

この記事では、この3点の確かめ方と見た目の違い、家庭でできる4ステップのケア、そして受診を考える目安をまとめます。なお皮膚の状態は写真や文章だけでは判断できません。気になるときは自己判断で市販薬を試し続けず、かかりつけの小児科・皮膚科に相談してください。

そもそも、おむつかぶれはなぜ起きる?

おむつかぶれは、医学的にはおむつ皮膚炎と呼ばれます。アレルギーではなく、尿や便が長く肌に触れることで起きる接触皮膚炎(触れたものの刺激で起きる皮膚の炎症)です。

日本医師会「白クマ先生の子ども診療所」の解説によると、おむつの中が湿った状態が続くと皮膚が刺激に弱くなり、さらに尿に含まれる成分から生じるアンモニアによって皮膚の表面がアルカリ性に傾きます。アルカリ性に傾いた皮膚は便に含まれる物質の影響を受けやすく、傷つきやすくなる——つまり、湿り気と便が重なったときがいちばん危ないという関係です(出典:日本医師会 白クマ先生の子ども診療所「おむつかぶれ」)。

軟らかい下痢便のときに悪化しやすいのは、このためです。逆にいえば、家庭でできることは「濡れている時間を短くする」「肌をこすらない」「皮膚と汚れの間に膜をつくる」の3方向しかありません。

おむつかぶれが治らないとき、まず確かめる3つのこと

1. 股のしわの奥まで赤くなっていないか

これがいちばん大事な分かれ道です。

ふつうのおむつかぶれは、おむつが当たっている面——おしりや太ももの外側など、盛り上がった部分が赤くなります。股のくびれの奥は、おむつが触れないため比較的きれいなことが多いとされています。

一方、股のくびれや深いしわの奥ほど赤みが強い場合は、カビ(真菌)の一種であるカンジダによる皮膚炎の可能性があります。日本では乳児寄生菌性紅斑(にゅうじきせいきんせいこうはん)、あるいはカンジダ皮膚炎と呼ばれます。カンジダはもともと健康な人の消化管にもいる菌で、温かく湿った場所で増えやすい性質があります。

大阪小児科医会の解説では、赤くなった部分の辺縁の皮膚が薄く膜のようにはがれて一見レース様になり、さらにその周りに小さな赤いぶつぶつが衛星のようにたくさんできるのが特徴とされています。この「少し離れたところに点々とできる発疹」は衛星病変と呼ばれます(出典:大阪小児科医会「乳児寄生菌性紅斑(カンジダ皮膚炎)」)。

2. 拭き方・洗い方が刺激になっていないか

赤くなっているのを見ると、つい「もっときれいにしなければ」と拭く回数や力が増えます。ところがこれは逆方向です。すでに炎症を起こした皮膚をこすることは、それ自体が新しい刺激になります。

日本医師会の解説は、おむつ交換時の清拭について柔らかいタオルやガーゼ、脱脂綿を使い、微温湯(ぬるま湯)または水でやさしく拭くことを勧め、市販のおしりふきは避けるとしています。「汚れを落とす」から「汚れを浮かせて流す」へ切り替えるイメージです。

3. 最近、抗菌薬(抗生物質)を飲んだか

AAPは、カンジダによるおむつかぶれについて、赤ちゃんが抗菌薬を飲んだあとに出てくることがよくあると説明しています。中耳炎などで薬を飲んだ数日後から急に赤みが強くなった、という経過に心当たりがあれば、その情報は受診時に必ず医師へ伝えてください(出典:HealthyChildren.org(AAP)「Common Diaper Rashes & Treatments」)。

見た目でみる、原因ごとの違い

AAP・日本医師会・大阪小児科医会の解説を整理すると、次のように分かれます。

見るところ ふつうのおむつかぶれ(おむつ皮膚炎) カビによるもの(カンジダ皮膚炎) 細菌によるもの
赤くなる場所 おむつが当たる面。おしり・太ももの外側など、盛り上がった部分 股のくびれ・しわの奥など、凹んだ部分ほど強い 肛門のまわり、または傷ができた場所とその周囲
赤みの境界 ひと続きの面として赤い 縁がレース状に薄くはがれ、境目が点々としている 原因菌により異なる
周囲のぶつぶつ 目立たない 少し離れた場所に小さな赤いぶつぶつが点在(衛星病変) 黄色いかさぶた、じくじく、膿をもったぶつぶつ
きっかけになりやすいもの 下痢、長時間の交換なし、拭きすぎ 抗菌薬の服用後 皮膚の傷から菌が入る
対応 清潔・乾燥・保護膜で改善しやすい 抗真菌薬が必要。自己判断のケアでは治りにくい 受診が必要

細菌が関わるものについて、AAPは、とびひ(皮膚に菌がついて水ぶくれやかさぶたが広がる感染症)と同じ菌が関係する場合があるとしています。目印は、肛門のまわりが鮮やかに赤いときは溶連菌(のどの感染症などを起こす細菌)、黄色いかさぶた・じくじく・ぶつぶつがあるときは黄色ブドウ球菌です。いずれも家庭でのケアだけで様子を見る状態ではありません。

なお、この表は「疑うきっかけ」を整理したものです。実際には複数の原因が重なることもあり、見た目だけで確定はできません。当てはまりそうだと感じたら、診断は医療機関に任せてください。

手持ちの薬を自己判断で塗らない

おむつかぶれが治らないとき、いちばんやってしまいがちなのが「以前もらったステロイドの塗り薬が残っているから塗ってみる」という対処です。

日本医師会の解説は、乳児寄生菌性紅斑にステロイド軟膏を使うとカビはどんどん増殖するとはっきり書いています。ステロイドは炎症を抑える薬であって、カビを退治する薬ではないためです。一時的に赤みが引いたように見えても、原因のカビにとっては都合のよい環境になります。

AAPも、市販の抗菌薬(抗生物質)の軟膏は使わないようにとしています。かえって刺激を強めることがあるためです。

逆に、原因がはっきりすれば回復は比較的早い傾向です。大阪小児科医会は、カンジダに効く適切な外用剤を使えば通常は1週間ほどで軽快するとしています。「なかなか治らない」と自己流のケアを重ねる時間のほうが、結果的に長引かせてしまうことになりかねません。

家庭でできる4ステップ

原因がふつうのおむつかぶれである場合、または受診までのあいだの手当てとして、家庭でできることは次の4つです。

ステップ1:便が出たらすぐ替える

もっとも効果が確実で、もっとも地味な対策です。AAPも日本医師会も、頻繁な交換を予防・治療の基本に挙げています。特に便が出たときは、気づいた時点で替えるのが原則です。

夜間は交換の間隔がどうしても空きます。夜間の漏れやムレが気になる場合の考え方は夜用おむつの比較記事にまとめています。

ステップ2:拭かずに、流して落とす

赤みが出ているあいだは、おしりふきで往復させるのをやめます。

  • ぬるま湯を張った洗面器やシャワー、水を入れたスプレーボトルで流して汚れを落とす
  • ガーゼや柔らかいタオルで押さえるように水分を取る(こすらない)
  • 石けんを使う場合はごく控えめに

AAPは、赤みがひどいときはこすらずに水のスプレーボトルなどで洗い流す方法を挙げ、そのあとはやさしく押さえて自然に乾かすとしています。日本医師会の「微温湯とガーゼでやさしく」という方針と同じ方向です。

洗い方そのものについては沐浴・お風呂の入れ方の記事、洗浄料の選び方は泡タイプのベビーソープの比較記事も参考になります。

ステップ3:乾かしてから閉じる

濡れたままおむつを閉じると、せっかく洗った意味が半減します。数十秒でかまわないので、乾いてからおむつを当てることを習慣にしてください。うちわであおいだり、おむつを開いたまま少しだけ待ったりするだけでも違います。

おむつの締め方も見直しどころです。AAPは、特に夜間にきつく締めすぎないことを勧めています。緩めに留めたほうが、こすれと湿気の両方が減ります。

ステップ4:保護膜を厚めにつくる

洗って乾かしたら、皮膚と尿・便のあいだに膜をつくります。AAPは、この目的に向く成分として皮膚を覆って保護する酸化亜鉛(亜鉛華軟膏などに含まれます)とワセリンを挙げ、塗り薬は皮膚とおむつの中身のあいだに立てる盾のようなものだと説明しています。

ここで多くの人が誤解しているのが量と塗り直し方です。AAPは、カップケーキのアイシングのように厚く重ねてよい塗り薬が汚れていなければ、無理に落とさずその上から塗り足してよいとしています。薄く伸ばして毎回きれいに拭き取る——というやり方は、盾を作っては壊しているのと同じことになります。

医療者向けのMSDマニュアル プロフェッショナル版「乳幼児の発疹」も、おむつ皮膚炎に対して酸化亜鉛やビタミンA・Dを含む保護用の軟膏がときに有用としています。日常の保湿との使い分けはベビーローションの比較記事にまとめています。

なお製品を選ぶときは、AAPが勧めるとおり無香料のものを選んでください。

おしりふきは使ってはいけないの?

ここは資料によって言い方が違うところなので、正直に整理します。

  • 日本医師会:おむつかぶれのケアとして、市販のおしりふきは避け、ガーゼや脱脂綿とぬるま湯を使う
  • AAP:おしりふきを使う場合はアルコールと香料を含まないものを選ぶ。ひどいときは水と低刺激の洗浄料、またはスプレーボトルで流す

つまり、「おしりふきが常に悪い」ではなく、赤みが出ているあいだは、水で流せる場面ではできるだけ流したほうがよいという理解が実態に近いはずです。外出先や夜中まで含めて毎回洗面所へ行くのは現実的ではありません。

家では洗う、外ではノンアルコール・無香料のおしりふきをやさしく当てる——という使い分けが、続けられる落としどころになります。製品ごとの厚みや成分の違いはおしりふきの比較記事にまとめています。

やりがちな失敗

1. 「きれいにすれば治る」と拭く回数と力を増やす

炎症のある皮膚をこするのは、治すどころか刺激を追加する行為です。回数を増やすべきなのは拭く動作ではなく、おむつを替える動作のほうです。

2. ベビーパウダーで乾かそうとする

AAPはベビーパウダーの使用を避けるよう勧めています。タルクを含むパウダーはアスベスト繊維を含む可能性があり、赤ちゃんの顔の近くでこぼれるなど大量に吸い込むと重い肺の病気につながりうるためです。タルクを含まないコーンスターチのパウダーでもアスベストの心配はないものの、吸い込んだ場合に気道を刺激するおそれは残るとしています(出典:HealthyChildren.org(AAP)「How to Choose Safer Personal Care Products」)。乾かす役割は、パウダーではなく「押さえ拭き+数十秒待つ」に任せてください。

3. 保護クリームを薄く塗り、毎回きれいに落とす

前述のとおり、AAPの考え方はこれと逆です。膜は厚く、汚れていなければ落とさずに塗り足す。もったいないと感じるほど薄く伸ばしていた場合は、量を見直すだけで改善することがあります。

受診を考える目安

もうひとつやりがちなのが、市販薬と自己流のケアで何日も粘ってしまうことです。粘るほど、カビが増えたり皮膚が傷ついたりする時間が長くなります。AAPは、次のいずれかに当てはまるときは小児科に連絡するよう挙げています。

  • 2〜3日ケアを続けてもよくならない、または悪化している
  • ぶつぶつ、皮むけ、水ぶくれ、膿をもった発疹、じくじくした傷やかさぶたを伴う
  • 抗菌薬を飲んでいる、または飲み終えたばかりの赤ちゃんに、縁に赤い点を伴う鮮やかな赤い発疹が出た
  • 痛がりかたが強い
  • 発疹に加えて発熱がある

これに、日本の小児科・皮膚科の解説でよく挙げられる「しわの奥まで赤い」「何度も繰り返す」を加えて考えると判断しやすくなります。受診の際は、発疹が出始めた日、便の状態、使った市販薬やおしりふき、抗菌薬の服用歴を伝えると診断の助けになります。可能なら、赤みが強かったときの写真を撮っておくと役立ちます。

よくある質問

Q. ふつうのおむつかぶれなら、どのくらいで治りますか?

A. 家庭でのケアで改善する場合は、2〜3日で赤みが引く方向に向かうのが一つの目安です(AAPが受診を勧める基準がこの日数のため)。カンジダによるものは、大阪小児科医会によれば適切な外用剤で通常1週間ほどで軽快するとされています。逆に「1週間以上、同じか悪化」という経過なら、ケアの方法ではなく原因を疑ってください。

Q. 布おむつだとかぶれやすいですか?

A. AAPは、湿った状態を減らす観点から吸収力の高いおむつを勧めており、この点では紙おむつが有利としています。ただし決め手になるのは素材そのものより交換の頻度です。布おむつを使う場合は、濡れたら早めに替えることをより意識してください。

Q. 保育園に預けていて、日中はこまめに替えられません。

A. 登園前と帰宅後に、洗って・乾かして・保護膜を厚く、を丁寧に行うだけでも変わります。赤みが出ていることは連絡帳などで園に伝えておくと、交換のタイミングを配慮してもらえることがあります。保護クリームを園で塗ってもらえるかは園によって扱いが異なるため、直接確認してください。

Q. 下痢が続いているときは、どうすればいいですか?

A. 便がアルカリ性に傾いた皮膚を傷つけやすいという関係から、下痢のときはかぶれが悪化しやすい状態です。拭き取るより流す、そのつど保護膜を塗り直す、を徹底してください。下痢そのものへの対応は赤ちゃんが発熱したときのホームケアの記事もあわせてどうぞ。

Q. おむつの銘柄やサイズを変えたほうがいいですか?

A. AAPは原因の一つとして、染料・ゴム・香料・保存料などに対するアレルギー反応も挙げています。同じ製品を使うたびに、その製品が当たる場所と同じ形で赤みが出るなら、変えてみる価値があります。一方でサイズがきつくてこすれている場合もあるので、まずは今のおむつの締め方とサイズを確認してみてください。銘柄ごとの違いは紙おむつの比較記事にまとめています。

まとめ

おむつかぶれが治らないとき、私たちはつい「もっと丁寧に、もっとこまめに」と手を増やしがちです。けれど2〜3日たっても改善しないなら、増やすべきは手入れの量ではなく、原因を疑う視点のほうです。

  • 股のしわの奥まで赤いなら、カビによる皮膚炎を疑う(ふつうのかぶれは、おむつが当たる面が中心)
  • 手持ちのステロイドや市販の抗菌薬軟膏を自己判断で塗らない(カビの場合は増やしてしまう)
  • 家庭でできるのは、替える回数を増やす/拭かずに流す/乾かす/保護膜を厚くの4つ
  • ベビーパウダーで乾かそうとしない
  • 2〜3日で改善しない、膿やじくじくがある、発熱を伴うときは受診

おしりのトラブルは毎日のことなので、少しでも早く楽にしてあげたいと思うものです。だからこそ、自己流のケアを長く続けるより、早めに小児科・皮膚科で見てもらうほうが結果的に近道になることが多い——そう考えておくくらいでちょうどよいはずです。


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