里帰り出産はいつから?帰る時期と準備の流れ|分娩予約・お金・手続き・持ち物

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結論:里帰り出産の準備は「分娩予約」から動く

里帰り出産の準備でまず手をつけるべきなのは、実家近くの産院の分娩予約です。買うものでも荷造りでもありません。妊娠が分かった時点で予約枠が埋まっている産院があり、ここだけは後から取り返しがききません。

迷ったら、次の順番で動けば大きく外しません。

  1. 妊娠が分かったら、里帰り先の産院に電話して「里帰り出産を受け入れているか」「予約はいつまでか」を確認する
  2. お金の確認をする。妊婦健診の受診券が里帰り先で使えるか、住んでいる自治体の窓口で聞く
  3. 帰る時期は主治医と決める。目安は妊娠32〜34週ごろだが、産院の指定が最優先

急ぐ理由は、お産のできる施設が減り続けているためです。日本産婦人科医会の施設情報調査(2025年)では、分娩を扱う施設は全国1,856施設で前年から100施設減少し、全国約1,700市町村のうち1,041市町村には産科施設がありません。実家の最寄りに産院がある前提で考えないほうが安全です。

この記事では、いつから帰るのかの実際のデータと、妊娠が分かった日から自宅に戻るまでの流れを軸に、健診費用と給付金の扱い、出産後の手続き、持ち物、そして里帰りしないという選択肢までをまとめます。出産に向けて買うものは出産準備リストにまとめてあります。

里帰り出産はいつから?みんなが帰る時期と、戻る時期

里帰り出産とは、出産の前後に自分の実家(または義実家)へ戻り、そこで出産・産後をすごすことをいいます。

「里帰り出産はいつから?」という問いには、二つの意味が混ざっています。準備をいつから始めるかの答えははっきりしていて、「妊娠が分かったらすぐ、分娩予約の確認から」です。一方で実家に帰るのがいつからかは家庭ごとに幅があり、ここは実際のデータを見たほうが決めやすくなります。

「出産前に帰るもの」と思われがちですが、実際はそうとも限りません。国の調査事業として実施された「里帰り出産等の実態に関する調査研究事業」(野村総合研究所、2024年3月報告。産後12か月までの産婦への調査)の数字が参考になります。

調べたこと 結果(回答7,592人)
里帰りを始めた時期 産後1か月未満 36.4%/妊娠9か月台(32〜35週ごろ) 23.1%/妊娠8か月台 15.9%/妊娠10か月以降 9.7%
自宅に戻った時期 産後1〜2か月 45.0%/産後1か月未満 16.2%/産後2〜3か月 14.1%/まだ里帰り中 7.1%
里帰りの期間 1〜2か月 28.8%/1か月未満 22.9%/2〜3か月 19.8%/3〜4か月 13.8%/4か月以上 14.8%
里帰り先 都道府県外 38.9%/同じ都道府県内の別の市区町村 37.9%/同じ市区町村内 22.8%

ここから見えるのは2つです。ひとつは、出産前に帰るなら妊娠9か月台が最も多いこと。もうひとつは、出産は自宅の近くで済ませ、産後だけ実家に帰る人が最多(36.4%)だということです。里帰り出産は「妊娠中に帰るか、帰らないか」の二択ではなく、産後だけ帰るという三つ目の選択肢があります。

メリットと、気をつけたい点

どちらが良い・悪いではなく、自分の家庭の事情に合うかどうかで決めるものです。

得られるもの 気をつけたい点
産後の家事・上の子の世話を頼める 妊婦健診の途中で病院が変わる(引き継ぎが必要)
実母のサポートで睡眠時間を確保しやすい パートナーが出産・新生児期に立ち会いにくい
上の子がいる場合、預け先を確保しやすい 実家の生活リズムや育児観の違いでストレスになることも
慣れた土地で精神的に安心しやすい 帰省の移動そのものが妊娠後期の体に負担
産後の食事づくりから離れられる 里帰り先では住民向けの支援を使えないことがある

見落とされがちなのが、パートナーが「父親になる実感を持つ時間」を失いやすいことです。毎日の写真共有や退院後すぐの合流など、意識的に関わってもらう工夫をしておくと、自宅に戻ってからの分担がスムーズになります。

自分はどう決める?状況別の選び方

選べる形は「妊娠中から里帰り」「産後だけ里帰り」「里帰りしない」の3つです。どれが合うかを状況に当てはめて選べるように整理しました。あくまで考え方の目安で、体の状態によって答えは変わります。

あなたの状況 向いている形 理由
実家が車や電車で2〜3時間以内。初めての出産で不安 妊娠32〜34週ごろから里帰り 移動の負担が軽く、産院の受け入れ期限にも余裕がある
実家が飛行機の距離 産後だけ里帰り、または里帰りしない 妊娠後期の長距離移動は負担が大きく、予定日が近いと診断書などの条件もつく
上の子が保育園・幼稚園に通っている 産後だけ里帰り、または親に来てもらう 長期の休みで退園扱いになる自治体があるため
パートナーが産後に育休を取れる 里帰りしない 二人で新生児期を経験でき、家事は宅配や家事支援で埋められる
実家の親が就労中・介護中・体調が不安 里帰りしない+産後ケア事業 「実家にいるのに頼れない」が最もつらい。公的サービスのほうが確実
実家との関係にストレスがある 短期(1か月未満)で区切る 期限を先に決めておくと関係が壊れにくい
帝王切開の予定がある、持病がある、双子などの多胎 主治医の判断を最優先 施設間の引き継ぎが最も重要になるため、自己判断で決めない

里帰り出産の流れ|妊娠が分かってから自宅に戻るまで

里帰り出産は「帰る・産む・戻る」の3工程に見えますが、実際に手が止まりやすいのはそのあいだにある連絡と書類です。妊娠が分かった日から自宅に戻るまでを、やることと連絡先をセットで並べました。一般的な目安なので、産院の方針や体の状態によって変わります。必ずかかりつけの医師の指示を優先してください。

時期 やること 連絡・確認する先
妊娠が分かったら(〜妊娠12週ごろ) 里帰りするかを家族で相談/帰省先の産院を探し分娩予約/妊婦のための支援給付の申請 里帰り先の産院、住民票のある市区町村
妊娠中期(16〜27週ごろ) 帰省時期を主治医と相談/受診券が里帰り先で使えるか役所に確認/帰省先の産院を一度受診するよう指示される場合あり 今のかかりつけ医、自宅の役所
妊娠28〜31週ごろ 交通手段の予約、紹介状(診療情報提供書)の依頼、荷造り開始 今のかかりつけ医、航空会社(飛行機を使う場合)
妊娠32〜34週ごろ 帰省するのはこのあたりが一般的な目安。以降は帰省先の産院で健診 里帰り先の産院
出産〜産後2週間 出生届(14日以内)、児童手当の申請(15日以内)、健康保険の加入 役所(出生届は里帰り先でも可)、自宅の自治体、勤務先
産後1〜2か月ごろ 1か月健診を終えて自宅へ戻る家庭が多い(調査では45.0%)/立て替えた健診費があれば償還払いを申請 里帰り先の産院、自宅の役所

この流れの中で、あとから取り返しがきかないのは次の3つだけです。逆にいえば、ここさえ外さなければ残りは順番が多少前後しても何とかなります。

  1. 分娩予約――枠が埋まると、そもそも産む場所がない
  2. 紹介状の依頼――帰省の2〜3週間前まで。当日すぐには出ないことがある
  3. 妊婦健診の領収書の保管――捨ててしまうと償還払いを申請できない

分娩予約は「妊娠が分かったらすぐ」

準備で最優先なのが分娩予約です。里帰り先の産院は、妊娠初期の段階で予約枠が埋まることがあります。地域によっては分娩を扱う病院自体が少なく、「受け入れは○週までに初診が必要」「受け入れ人数に上限あり」といった条件が設けられていることもあります。

最初の電話で、次の5つを聞いてしまうと二度手間になりません。

  1. 里帰り出産を受け入れているか、今の時期でまだ枠があるか
  2. 予約の締め切り(妊娠○週まで、など)
  3. 事前受診が必要か。必要なら何週ごろか
  4. 何週までに帰ってくる必要があるか
  5. 紹介状のほかに必要な書類、予約金の有無と金額

予約が取れたら、現在のかかりつけ医に「○週ごろ里帰りする」と伝えておきます。

帰省は32〜34週ごろが目安

帰省の時期は妊娠32〜34週ごろを目安に案内されることが多いですが、産院によって「34週まで」「36週まで」と指定が異なります。里帰り先の産院と現在の主治医、両方に確認してください。

移動手段では次の点に注意します。

  • 新幹線・電車:こまめに立って歩けるよう通路側の席を。長時間同じ姿勢は避けます
  • 飛行機:国内線では、出産予定日から28日以内の搭乗に医師の診断書が必要になります。予定日がさらに近づくと医師の同伴を求められ、その基準は航空会社で異なります(ANAは予定日から14日以内、JALは7日以内)。診断書は搭乗日を含めて7日以内に作成されたものという条件もあるため、予約前に利用する航空会社の最新の案内を確認してください
  • 自家用車:休憩は1〜2時間おきに。シートベルトは妊娠中でも着用が必要で、腰ベルトはおなかの下(骨盤)を通すのが基本です
  • 移動中は母子健康手帳と健康保険証を手元のバッグに入れておきます

紹介状(診療情報提供書)をもらう

里帰り先の産院では、それまでの妊娠経過が分かりません。そのため、かかりつけ医から紹介状を書いてもらいます。正式には診療情報提供書といい、妊娠経過・検査結果・既往歴などをまとめた医師間の引き継ぎ書類です。

  • 依頼は帰省の2〜3週間前までに。当日すぐには出ないこともあります
  • 発行には費用がかかります。正常な妊娠経過の場合は保険がきかない自費扱いになることが多く、目安は2,000〜3,000円程度です(金額は産院によって異なるため、依頼するときに確認を)
  • 受け取ったら開封せず、そのまま里帰り先の産院へ提出します
  • 帰省先で最初にかかる産院名が決まっていない段階では紹介状を書けません。分娩予約が先です

妊婦健診の受診券は里帰り先で使える?

妊婦健診の費用は、お住まいの自治体から配られる受診券(補助券)で一部が補助されます。「里帰り先では使えない」と説明されることが多いのですが、実際は使える場合と使えない場合が半々です。

先ほどの調査で、里帰り先で妊婦健診を受けた3,698人のうち、受診券を使えたのは49.4%使えず一時的に自分で支払ったのは50.2%でした。

分かれ目になるのが集合契約という仕組みです。都道府県が域内の医療機関とまとめて契約しておくと、同じ都道府県内であれば別の市区町村の産院でも受診券をそのまま使えます。同調査では、妊婦健診について集合契約を結んでいた都道府県は約4割でした。里帰り先が同じ都道府県内なら、使える可能性は十分あります。

使えなかったときの「償還払い」

受診券が使えない場合は、健診のたびに全額を自己負担で支払い、あとから自宅の自治体に申請して補助の範囲内で払い戻しを受けます。この「先に払って、あとから返してもらう」方式を償還払い(しょうかんばらい)といいます。

  • 領収書と明細書は1枚残らず保管してください。これが無いと払い戻しの申請ができません
  • 申請の期限(産後1年以内など)や必要書類は自治体ごとに異なります。帰省前に自宅の役所に確認しておくと安心です
  • 里帰り先での健診分をまとめて、自宅に戻ってから申請するのが一般的です

立て替える金額の目安として、公費でいくら補助されているかを知っておくと役立ちます。こども家庭庁の調査(2025年4月1日時点)では、妊婦健診の公費負担額は全国平均で113,647円。ただし都道府県差が大きく、最も高い沖縄県は141,457円、最も低い神奈川県は85,765円で、約5万円の開きがあります。国はこの差を埋めるため全国一律の標準額を示す方針を出しており、今後変わる可能性があります。

出産前後にもらえるお金

制度は住んでいる自治体・加入している健康保険で手続き先が変わります。里帰り先ではなく、住民票のある自治体・加入先の保険が原則です。

制度 金額の目安 申請先 タイミング
妊婦のための支援給付 合計10万円(妊娠の認定後に5万円+胎児の数×5万円) 住民票のある市区町村 妊娠が分かったら/2回目は出産予定日の8週間前以降
出産育児一時金 子ども1人につき原則50万円 加入する健康保険 直接支払制度なら出産時に産院へ直接支払われる
児童手当 0〜2歳は月15,000円、3歳〜高校生年代は月10,000円(第3子以降は一律月30,000円) 住民票のある自治体 出生の翌日から15日以内
出産手当金・育児休業給付 勤務先の加入状況による 勤務先・健康保険・ハローワーク 産休・育休の申請時

妊婦のための支援給付は2025年4月に始まった制度で、それまでの出産・子育て応援交付金が法律上の給付として整理されたものです。保健師などとの面談(妊婦等包括相談支援事業)とセットで案内されることが多く、里帰りしていても申請先は住民票のある市区町村です。

児童手当は2024年10月から所得制限が撤廃され、対象が高校生年代まで広がりました。第3子以降の数え方には条件があるので、窓口で確認してください。

なお、出産費用の自己負担をなくす制度改正は2026年5月に法律が成立しましたが、施行は公布後2年以内とされており、実際に無償化されるのは早くて2027年度以降の見込みです。いま妊娠中の人は現行の出産育児一時金50万円の制度で進むことになります。手当や助成の中身は育児で使えるお金の制度まとめで、産休・育休の手続きは産休・育休の制度とお金で解説しています。

里帰り先で使えない支援がある

準備の段階で最も知られていないのが、ここです。産後ケアや訪問支援は住民票のある自治体の事業なので、里帰り先では原則として使えません。

先ほどの調査では、里帰り先で行政サービスを利用した人は25.2%だけでした。里帰り先で利用したかったのに使えなかったサービス(558人が回答)の内訳は次のとおりです。

使えなかったサービス 割合
産後ケア事業 58.8%
訪問支援(産後) 24.7%
育児教室など 22.4%
保健師などとの面談・育児相談(産後) 21.9%
両親学級・母親学級 20.8%

里帰り先で困ったこととして最も多かったのは「里帰り先で利用できる行政サービスが分からなかった」で24.5%、次いで「行政サービスは使えたが後日還付の手続きが必要だった」13.3%、「里帰り先の住民ではないため利用できなかった」9.6%でした。一方で「特に困ったことはない」も52.9%あり、裏を返せば約半数は何かしら困っていることになります(回答5,833人)。

対策はシンプルで、帰省前に電話を2本かけることです。

  • 自宅の自治体へ:受診券が里帰り先で使えるか、使えない場合の償還払いの申請方法と期限、里帰り先で産後ケアを使いたい場合に手続きできるか
  • 里帰り先の自治体へ:住民票がなくても使える事業があるか、里帰り中の相談窓口はどこか

自治体どうしが委託契約を結んでいて、里帰り先の産後ケアを使える地域もあります。「使えないもの」と決めつけず、両方に聞いておくと選択肢が増えます。

出産後の手続きリスト

産後は体が思うように動かないうえ、期限が短い手続きが集中します。どれをパートナーに任せるかを、出産前に決めておくのが最大のコツです。

手続き 期限の目安 届出先 備考
出生届 生まれた日を含めて14日以内 本籍地・住所地・出産した地の役所 里帰り先の役所でも提出できる
児童手当の申請 出生の翌日から15日以内 自宅(住民票のある)の自治体 里帰り先では手続きできない
健康保険の加入 できるだけ早く 勤務先または自宅の自治体 1か月健診までに間に合わせたい
乳幼児医療費助成 保険証が届いたら 自宅の自治体 保険証取得後の手続き
出産育児一時金 直接支払制度を利用する場合は入院時 産院・健康保険 手続き方法は産院に確認

ポイントは、出生届は里帰り先の役所でも出せるが、児童手当や医療費助成は住民票のある自治体でしか手続きできないことです。里帰り中はパートナーに委任状を渡して動いてもらう、または自宅に戻ってからまとめて申請する形になります。委任状の要否は自治体によって違うので、事前に確認しておきましょう。

帰省時の持ち物リスト

里帰り先で買えるものは現地調達で構いません。現地で代わりが利かないものを優先して持っていきます。

絶対に忘れてはいけないもの
– 母子健康手帳、健康保険証、診察券
– 紹介状(診療情報提供書)
– 印鑑、マイナンバーが分かるもの、産院から指示された書類
– 妊婦健診の受診券と、領収書を入れる封筒(償還払いの申請に使います)

入院バッグ(帰省先ですぐ出せる場所に置いておきます)
– 産褥(さんじょく)ショーツ(股の部分が開いて診察を受けやすい産後用の下着)、授乳しやすいパジャマ、産褥パッド、洗面用具
– 退院時の赤ちゃんの服とおくるみ。中身の詳細は出産準備リストを参照

赤ちゃん用品・自分用
– 短肌着・コンビ肌着など、退院直後に使う分だけ
– おむつ・おしりふきは1パックだけ持ち、あとは現地で購入
– 大物(ベビーベッド、ベビーバス)は実家でレンタルまたは現地購入を。運ぶより確実に楽です
– ふだん飲んでいる薬、常用しているスキンケア、充電器、母乳パッド

退院時に車で移動するならチャイルドシートは必須です。実家の車に取り付けられるか事前に確認しておきましょう。上の子を連れて帰るなら、上の子の赤ちゃん返りへの備えも頭の片隅に置いておくと落ち着いて対応できます。

里帰りしない・できない場合の選択肢

実家が遠い、親が働いている、親の体調がすぐれない――里帰りしない家庭も珍しくありません。頼れる先は実家だけではありません。

  • 産後ケア事業:自治体が実施する、産後のお母さんと赤ちゃんが助産師などのケアを受けられる事業です。宿泊型・日帰り型・訪問型があり、費用の一部が補助されます。事前申請が必要なことが多いので、妊娠中に申し込み方法を調べておくのがおすすめです
  • 産後ヘルパー・家事支援:自治体の産前産後ヘルパー派遣や民間の家事代行。掃除・買い物・調理を任せられます
  • ファミリー・サポート・センター:地域の会員同士で子どもの預かりを行う自治体の仕組み。上の子の送迎などに使えます
  • 食事の外部化:宅配弁当、ミールキット、冷凍作り置きの宅配。産後1か月は「作らない」と決めてしまうのが現実的です
  • 親に来てもらう:里帰りせず、親に数週間だけ滞在してもらう方法もあります

産後ケア事業は2026年4月から対象が広がりました。これまでは「心身の不調や育児不安がある人」が主な対象とされていましたが、「産後ケアを必要とする人」へと見直され、誰でも利用を申し込める事業として整理されています。あわせて利用料の減免に対する国の補助(1回あたり2,500円が基準、住民税非課税世帯は5,000円)も設けられました。実際の自己負担額や利用回数の上限は自治体ごとに違うので、住んでいる市区町村の案内を確認してください。

この時期を乗り切る工夫はワンオペ育児を乗り切る工夫にもまとめています。

やりがちな失敗

  1. 分娩予約を後回しにする:一番多い失敗です。妊娠が分かったら、つわりがつらくても電話1本で受け入れ可否だけは確認しておきましょう。
  2. 受診券がそのまま使えると思い込む:使えるかどうかは都道府県の契約状況次第で、調査では約半数が使えずに立て替えていました。使えない場合に備えて支払いの手段を用意しておきましょう。
  3. 健診の領収書を捨ててしまう:償還払いの申請に必要です。専用の封筒を1つ用意し、そこにすべて入れる運用にすると失くしません。
  4. 里帰り先で産後ケアを使うつもりでいた:住民票のある自治体の事業のため、原則として使えません。帰省前に両方の自治体へ確認を。
  5. 帰るタイミングが遅すぎる:受け入れ期限ぎりぎりを狙うと、体調の変化で移動できなくなるリスクがあります。余裕を持った日程を。
  6. 荷物を持ち込みすぎる:おむつ・肌着・ベビーバスは現地で買える・借りられるものが大半です。大荷物での移動のほうが体に負担になります。
  7. 自宅に戻る日を決めていない:帰省前に、おおよその目安を実家とパートナーの三者で共有しておくと揉めにくくなります。

実家との関係で消耗しないために

里帰り中のストレスとしてよく挙がるのが育児のやり方の違いです。「うつ伏せで寝かせたほうがよく寝る」「白湯を飲ませなさい」など、現在は推奨されていない方法を勧められることがあります。

真正面から否定すると角が立ちやすいので、「今の産院ではこう言われている」と第三者を主語にすると伝えやすくなります。折り合わないときは、赤ちゃんの安全に関わることだけは譲らず、それ以外は聞き流すと線引きしておくと消耗しにくいです。食費や光熱費として一定額を渡すなど、お金の話を最初にはっきりさせておくのも有効です。

滞在の長さも関係に影響します。調査では里帰り期間が1〜2か月の人が28.8%と最も多く、1か月未満も22.9%います。長く居るほど良いわけではありません。「1か月健診が終わったら戻る」など終わりを先に決めておくほうが、お互いに気持ちよく過ごせます。

よくある質問

Q. 里帰り出産の準備はいつから始めればいいですか?
A. 妊娠が分かった時点からです。ただし最初にやるのは買い物や荷造りではなく、里帰り先の産院に電話して受け入れ可否と予約枠を確認することです。産院によっては妊娠初期のうちに枠が埋まります。まずは「里帰り出産を受け入れているか」「予約はいつまでか」の2点を確認してください。準備を始める時期と、実際に帰る時期(32〜34週ごろが目安)は別物だと考えておくと慌てずに済みます。

Q. 里帰り先で妊婦健診を受けたお金は戻ってきますか?
A. 受診券が使えなかった場合は、あとから申請して補助の範囲内で払い戻す償還払いの制度が多くの自治体にあります。上限額や申請期限は自治体ごとに違うので、帰省前にお住まいの役所に確認し、領収書はすべて保管してください。

Q. 出産は自宅の近くで、産後だけ実家に帰ることはできますか?
A. できます。調査では里帰りを始めた時期として「産後1か月未満」が36.4%で最も多く、産後だけ帰るのは珍しい形ではありません。妊娠後期の移動を避けられ、かかりつけの産院で出産できるのが利点です。退院直後の移動になるので、車なら休憩を多めに、赤ちゃんのチャイルドシートも忘れずに。

Q. 出生届は里帰り先の役所に出せますか?
A. 本籍地・住所地に加えて出産した場所の役所でも提出できます。ただし児童手当や乳幼児医療費助成は住民票のある自治体での手続きになるため、そちらはパートナーに依頼するか、自宅に戻ってから行うことになります。

Q. 里帰り先で産後ケアや新生児訪問は受けられますか?
A. どちらも住民票のある自治体の事業なので、里帰り先では原則として受けられません。ただし自治体間で委託している地域もあります。同じ調査では、約9割の市区町村が「本人が里帰り先での支援を希望した場合は里帰り先の市区町村へ情報を共有している」と回答しています。里帰り中に相談や訪問を受けたいときは、まず自宅の自治体に伝えておくのが近道です。

Q. 自宅に戻るのはいつごろが一般的ですか?
A. 1か月健診を終えてから戻る家庭が多く、調査でも産後1〜2か月が45.0%で最多でした。体の回復や上の子の状況で前後します。移動は赤ちゃんにも負担になるので、体調と相談して決めてください。

Q. 上の子がいる場合、保育園はどうなりますか?
A. 長期間休むと、自治体によっては退園扱いになる場合があります。里帰りを決める前に、必ず在籍中の園と自治体に「どのくらい休めるか」を確認してください。里帰り先で一時保育を使えるかも調べておくと安心です。

まとめ

里帰り出産の流れは長く見えますが、押さえるべきポイントは5つに絞れます。

  • 分娩予約は妊娠が分かったらすぐ。産科施設が減っている地域もあり、ここだけは後回しにできません
  • 帰省は32〜34週ごろが目安。ただし産院の指定が最優先で、飛行機は診断書の規定を予約前に確認
  • 受診券が里帰り先で使えるかを事前に確認。使えない場合は立て替えになるので、領収書はすべて保管
  • 産後ケアや訪問支援は里帰り先では原則使えない。帰省前に自宅と里帰り先の両方の自治体に電話を
  • 出生届は里帰り先でも出せるが、児童手当・医療費助成は自宅の自治体。役割分担を出産前に決めておく

そして、里帰りしないという選択も、産後だけ帰るという選択も十分に現実的です。実際、産後になってから里帰りを始めた人が最も多いという調査結果もあります。実家の状況やパートナーの育休の取り方に合わせて、いちばん無理のない形を選んでください。

移動できる時期や方法は妊娠経過によって一人ひとり違います。帰省の時期・交通手段は必ずかかりつけの医師に相談したうえで決め、気になる症状があるときは自己判断せず早めに産院へ連絡してください。


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